アンカーに入るも持ち味を発揮できず マウリシオが証言「本来は一列前の選手」

 J1浦和レッズに今季から加入したブラジル人MFエヴェルトンは、16日の富士ゼロックススーパーカップ川崎フロンターレ戦でデビューしたが、前半45分間で交代。チームも0-1で敗れ、「素晴らしいものは見せられなかった」と話した一方で、家本政明レフェリーのジャッジに抱いた好印象についても語った。

 エヴェルトンは浦和がオズワルド・オリヴェイラ監督の下で昨季の後半から定着している3-5-2システムの中心部分、アンカーの役割を担う3人のMFの中央に入った。現状では「右、左、プレス」というくらいの日本語でしかコーチングをできない難しい状況のなか、ボールの近い局面、局面では球際の強さや技術も見せた。ただし、チーム全体としては押し込まれる苦しい状況を打開できないまま時間が流れていった。

 川崎戦に向け、「(試合前の時点で)ゲームプランが少し守備的ななかで、相手がよくつなぐことは理解していた」と話したエヴェルトンだが、「奪った時に落ち着いて相手の上がったラインの背後を突こうという意識があったが、残念ながら危険な抜け出しはできなかった」と、試合展開を振り返っている。

 エヴェルトンはポルトガルの名門ポルトが昨夏にポルティモネンセから獲得。そのまま古巣に期限付き移籍する形でシーズンを過ごしていた今冬、浦和に期限付き移籍で加入した。浦和ではDFマウリシオとFWファブリシオがポルティモネンセ時代にもチームメートだったが、彼らはともにエヴェルトンの特徴をラストパスに近い局面と話す。マウリシオが「本来は一列前の選手」と話すなど、そのポテンシャルを発揮できたとは言い難かった。

家本レフェリーは「よくプレーを続行させてくれて、試合を流してくれたと思う」

 日本で初めて公式戦をプレーしたエヴェルトンは、家本レフェリーのジャッジについて「よくプレーを続行させてくれて、試合を流してくれたと思う。良いレフェリーだと感じた」と言及。アドバンテージの採用が多く、試合がストップする場面の少ないレフェリングはヨーロッパでのプレー経験が長いブラジル人MFにとっては好印象だったようだ。

 デビュー戦を終えたエヴェルトンは「それぞれの試合が教えてくれるものがある。今は試合が終わったばかり。頭を冷やして、監督からの話があるだろうから、それを受けて課題を改善していきたい」と、先を見据えた。

 来週にはリーグが開幕し、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のスタートも迫ってきたが、浦和の新外国人MFが本領を発揮するにはもう少しプロセスを踏む必要がありそうだ。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

浦和レッズのMFエヴェルトン【写真:Noriko NAGANO】