freee(佐々木大輔代表取締役)は、1月30日に開催したオープンプラットフォーム戦略に関する発表会において、全国信用金庫協会とAPI連携に関して契約し、全国253信用金庫とのAPI連携を2月4日から順次開始すると発表した。金融機関のオープンAPIの取り組みが加速する中、全国信用金庫協会を介した信用金庫とFinTech企業のAPI連携は「今回が初」(同社)といい、先進的な取り組みとして注目を集めそうだ。

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 今回のAPI連携で、freeeの会計ソフトと各信用金庫のインターネットバンキング利用明細の連携をより安全に行うことができるようになる。従来は、利用明細を会計ソフトに取り込む際にインターネットバンキングのユーザーIDとパスワードを会計ソフトに保存する必要があったが、API連携によってそれが不要になり、利用明細の自動連携が可能になる。

 freeeとAPI連携する信用金庫の一つ、城南信用金庫の上原秀生・常勤理事企業経営サポート部部長は「私たちのお客様である中小企業個人事業主が、より一層便利に安心してfreeeの会計サービスを利用できる」と期待を寄せた。

 金融業界においては、2018年6月に改正銀行法が施行されたことで、金融機関にとってオープンAPI導入に向けた体制整備は努力義務となり、FinTech企業との取り組みが進められている。freeeは16年8月に金融機関とのAPI連携を始め、これまでに14行とAPI連携を実現した。今回の全国信用金庫協会との契約により、提携する金融機関の数は267にまで一気に拡大。佐々木代表取締役は「中小企業にとって、信用金庫は一番身近な存在。ほぼ全ての信金とのネットワークをつくれたことは大きなインパクトになるだろう。今後は信金だけでなく地方銀行などにもネットワークを広げていきたい」と、同社のメインターゲットとなる中小企業の支援に向けて意気込んだ。

 freeeは、18年5月にAPIを活用して外部サービスとの連携強化を目指すオープンプラットフォーム戦略を発表。開発者向けのポータルサイトを開設し、開発者が連携サービスを開発しやすい環境を整えることなどに注力してきた。

 そうした取り組みの一環として、freeeの会計ソフトや人事労務ソフトと連携可能な外部サービスをユーザーが簡単に探して利用できるようにする「freeeアプリサイト」を1月30日に公開した。佐々木代表取締役は「ユーザーにとっては、自分のビジネス課題に関連するアプリケーションを簡単に見つけられる。開発者にとっては、100万社以上のfreeeユーザー(事業者)に向けてアクセスし、作ったアプリケーションを広めることができる」と、メリットを説明した。

 今後、20年末までに法人ユーザーが利用する金融機関の90%とAPI連携を実現すること、300の連携アプリケーションをアプリサイト上にラインアップすることを目指す。発表会ではこのほか、PwCあらたとの協業による上場支援サービスの提供、freeeの人事労務ソフトとグーグルの「G Suite」との人事マスターデータ連携の開始も明らかにした。(前田幸慧)

オープンプラットフォーム戦略の進展をアピールしたfreeeの佐々木大輔代表取締役(写真中央)