血液型が赤ちゃんとお母さんで違うことは珍しくありません。お父さんとお母さん、2人の血液型の組み合わせによって赤ちゃんの血液型が決まるわけですが、そのパターンによっては赤ちゃんに悪い影響が出ることがあり、血液型不適合妊娠と呼ばれています。 この記事では血液型不適合妊娠についてお話ししたいと思います。

血液型不適合妊娠とは?

抗体という、体を守るための免疫反応があります。自分の体には存在しない異物(抗原)を取り除くために作られるもので、本来は体にとって大切な機能です。

問題なのは、この免疫反応がお母さんと赤ちゃんの血液のタイプが違うことでも引き起こされる場合があることです。自分とは違う血液を異物とみなして、お母さんの血液中に作られた抗体が、赤ちゃんの赤血球を攻撃してしまうことがあります

赤血球が攻撃されると、赤ちゃんは貧血や心不全、胎児水腫などの病気になってしまうことがあり、きちんと対応をしないとお腹の中で亡くなってしまうこともあります

このように、お母さんと赤ちゃんの間で、免疫反応が起きてしまうリスクが高い(血液型相性が悪い)状態を血液型不適合妊娠と呼びます。

とはいえ、抗体が作られるのは異物(とみなされてしまう物質)を体の中に取り入れた後です。
血液の相性が良くなくてもお母さんが抗体をまだ持っていないケースもあり、必ず赤ちゃんに悪い影響が出るとは限りません。また、慎重な経過観察が欠かせませんが治療方法もあります

血液型不適合妊娠の種類と、発症しやすい血液型

血液型」と聞くと最初にA型やB型といったABOの種類を思い浮かべる方が多いと思います。実は血液のタイプには他にもいろいろな種類があり、Rh型、MNS型、Lewis型など数多く存在します。

その中でも、妊娠においては下記の2種類の血液型が重要とされています。

ABO不適合妊娠

一般的に血液型といわれてすぐに想像する、A型、B型、O型、AB型の4つのことです。

これは、赤血球の表面にある抗原の種類を表していて、A抗原があればA型、B抗原があればB型、両方なければO型、両方あればAB型となります。

ABO不適合妊娠は、お母さんがO型、お父さんがO型以外の血液型で、赤ちゃんがA型かB型の場合に発症することがあります

ABO型の不適合妊娠は赤ちゃんが出生後に黄疸が強くなるなどの症状が現れる場合がありますが、妊娠中に胎児死亡となってしまうケースはないとされています

ABO不適合妊娠

Rh(D)不適合妊娠

妊娠における血液型はABO型のほかに、Rh(D)型も重要です。
Rh(D)は陽性の人がほとんどで、陰性の人は日本人では200人に1人と言われています兵庫県医師会より)。

Rh(D)不適合妊娠は、お母さんがRh(D)陰性、お父さんがRh(D)陽性で、赤ちゃんがRh(D)陽性の時に発症することがあります

Rh不適合妊娠では赤ちゃんの症状が重篤で、胎児貧血や心不全を起こし、胎児死亡の可能性もあります。出生後も、貧血や黄疸などによって治療に要する期間が長くなることがあります。

Rh(D)不適合妊娠

抗体ができてしまうのはどんな時?

抗体は、妊娠、出産、切迫早産、流産、人口妊娠中絶、輸血のほか、ABO型については食品細菌などによってもつくられる可能性があります。

ですので、1人目を妊娠した際には抗体ができていなかった方でも、2人目以降の妊娠の際に発症するようなこともあるのです。

まとめ

女性の方は、ご自身の血液型O型や、Rh(D)陰性の場合には、妊娠時に血液型不適合妊娠のリスクがあることを知っておきましょう

特に注意すべきはRh(D)不適合妊娠ですが、Rh(D)に対する抗体ができないように予防することもできます

血液型不適合妊娠って何?ABO型とRh型とは