大谷翔平(24)が日米報道陣の要請に応じ、練習再開と実戦復帰の時期について答えた(2月17日/現地時間)。淡々と語っていたが、その復帰計画は大胆なものであることも分かった。

 「ある程度、来週やりながら、ティー打撃ができればいい。今週、(ティー打撃が)できればいい」

 昨年10月に右肘にメスを入れた影響で、今季は「投手・大谷」は見られない。二刀流はいったん封印となり、19年シーズンは打者専念となるが、この時期に「ティー打撃のみ」ということは、試合復帰は当初の予定よりもかなり遅れそうだ。

 「古巣の日本ハムが米アリゾナキャンプ前半の日程をこなしていたとき、大谷が表明訪問しました。Tシャツ姿だった大谷の右肘は丸見えで、手術痕がクッキリと残っていました」(特派記者)

 エンゼルスビリー・エプラーGMも同14日、記者団に囲まれ、大谷の回復状況が遅れていることを明かしている。同会見で興味深かったのは、スロー調整となるキャンプ後の実戦復帰プランだ。

 「マイナーリーグでは調整させない」

 つまり、フルスイングできるようになったらいきなり、大谷をメジャーリーグの公式戦に出すというのだ。

 日本、アメリカでも変わらないと思うが、普通、故障で出遅れた選手は実戦感覚を取り戻すため、二軍戦(マイナーリーグ)に出る。そこで何試合かこなし、メジャー復帰するものだが、そういう計画は立てていないそうだ。いくら大谷でも、いきなりのメジャーリーグ復帰はキツイと思うが…。

 「いきなり、スタメンで試合に出るのは考えにくい。たぶん、代打での途中出場を何試合かこなしてからになると思いますが」(前出・特派記者)

 代打かスタメンか。そのあたり、同GMははぐらかしていたが、時期的には「5月上旬」だと言う。約1カ月遅れての公式戦、対戦投手は肩が温まるころであり、苦戦を強いられるだろう。

 しかし、こんな見方もある。

 「リハビリ中心の現在の練習は完全非公開なんです。ひょっとしたら、エプラーGMがメディアに話している以上に回復していて、対戦チームを驚かせようとしているのかもしれません」(米国人ライター)

 投手・大谷の封印に伴い前年オフ、エンゼルスはそれなりの補強は行ったという。また、打者・大谷の出遅れをカバーする指名打者も獲得している。無理をする必要はない。だとすれば、メジャー公式戦の中で打者・大谷を“調整”させるくらいの余裕はあるということなのか…。

 「幸い、4月下旬から5月のエンゼルスの試合はホームが多いです。マイナーは試合日程を消化させるため、長距離移動を強いられます。そのあたりに関する配慮もあるのでは」(前出・米国人ライター)

 いきなり、実戦に復帰させるのと、移動で伴う疲労を天秤にかけたのかもしれない。いずれにせよ、実戦感覚がないまま公式戦に突入するリスクは大きい。今季の大谷は“苦戦スタート”となる。バットから快音が聞かれるのはさらに先になりそうだ。(スポーツライター・飯山満)

大谷翔平