3月1日に発表される日本アカデミー賞の最優秀賞を除き、今年の国内映画賞がほぼ出そろった。特に目を引くのは柄本佑安藤サクラ夫妻だろう。2人はそろって第92回キネマ旬報ベスト・テン、第73回毎日映画コンクールの主演賞を受賞。これらの賞で夫婦が同じ年に主演賞に輝いた例はなく、2つの映画賞の開催回数を見てもいかに稀有なことかがわかるはずだ。

 2人が稀有な存在であることは、家族からも見てとれる。安藤の父親は奥田瑛二で、姉は映画監督の安藤桃子。柄本の父親は柄本明で、弟が柄本時生。この一族でキネ旬と毎日の受賞歴を見てみると、安藤サクラは今回を入れてキネ旬が主演賞3回、助演賞2回、毎日は主演2回と助演1回。柄本佑はキネ旬の主演賞と新人賞が1回ずつで、毎日の主演1回。奥田瑛二はキネ旬の主演1回、毎日の主演2回。安藤桃子は毎日の脚本賞1回。柄本明はキネ旬の主演と助演が1回ずつで、毎日では助演を1回受賞している。

「芸能一家と呼ばれる人は多いものの、名優と名クリエイターがそろっている点で、安藤家&柄本家が現在では群を抜いています。昨年のカンヌ国際映画祭で審査委員長ケイト・ブランシェットから『万引き家族』の演技を絶賛された安藤サクラが、今後も受賞回数を伸ばすことは間違いないでしょう」(映画ライター)

 ちなみに、安藤&柄本家が横に広がる一族なら、故・三國連太郎(本名は佐藤政雄)、佐藤浩市、寛一郎の3代にわたる俳優一家の佐藤家は縦の系譜。DNAと単純に言ってしまってはむしろ彼らに失礼であり、名優の子が名優とは限らないが、寛一郎は今年のキネ旬で新人男優賞を受賞。確実に日本映画界を代表する俳優へと歩み出した。こちらの活躍からも目が離せない。

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