Credit: NASA, ESA and G. Bacon
Point
■天球で最も明るい恒星であるシリウスが、小惑星によって星食する予定
■見かけ上の大きさがシリウスよりも小惑星のほうが大きいので、星食時シリウスは完全に消える
■観察できるのは、中南米の一部地域だけなので、日本で観測することはできない

太陽系外の恒星として最も明るい、二重星のシリウス

大きい方の星はシリウスAで、太陽よりも25倍明るい星であり、距離も近く、太陽系から9光年以内です。シリウスは多くの文化において、その特別な明るさから長らく重要な役割を持っていました。そのため50個近く名前がつけられています。シリウスという名前は、ギリシャが起源となっており、「輝く」という意味です。

19日の夜、中央・南アメリカやカリブ海地域の一部で、シリウスが一瞬消える事になりそうです。その原因は小さな小惑星シリウスの前を通過するためで、1.6秒ほどの星食が起こると、世界掩蔽観測者協会(IOTA)は伝えています。

Credit: nternational Occultation Timing Association

小惑星の名前は”4388 Jürgenstock”で、見かけの大きさはシリウスより若干大きくなっています。この小惑星の角直径は、0.007アーク秒であるのに対して、シリウスの角直径は0.006アーク秒です。そのため、小惑星シリウスの前を通過すると、シリウスは短時間暗く、あるいは完全に消滅し、すぐに光を取り戻すことになります。シリウスは、一度ゆっくりと瞬くのです。

小惑星の直径は4.7kmで、1964年天文学者”Jürgen Stock”によって発見された天体です。天文学者にとって、この星食は小惑星の寸法を知るための稀な機会。どうやら不規則な形をしているようなので、シリウスの光をさえぎる程度を見ることで、その形が明らかになるかもしれません。

 

シリウスは、将来の宇宙探査でも重要な存在となるかもしれません。シリウスの明るさによって、シリウス星系に近づいたソーラーセイルは減速しやすくなりますが、そのためシリウスは最初の恒星間ソーラーセイルミッションの候補地と目されているのです。とはいえ、今のところシリウス星系に惑星は見つかっていません。

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reference: ars Technica / written by SENPAI
シリウスが空から消える!?5kmサイズの小惑星がシリウスを星食 中南米で観測