スリーエムジャパンは、遺伝子検査法を採用して、食中毒菌を従来の1/4の時間で検出できる「3M 病原菌自動検出システム」を発売した。

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 食中毒のリスクに対応するため、食品工場などでは、微生物検査を徹底し、食品中の微生物を培養により増殖させて目視確認する培養法微生物検査が広く行われている。この方法では、微生物培養のためのスキルと、培養時間が必要なうえ、微生物種ごとに特化した培地で培養するなどの手間もかかっていた。

 今回開発された病原菌自動検出システムでは、微生物中の遺伝子を分析して病原性微生物の有無を検査する。検査ではキット化された試薬を用い、システムが病原菌の有無、種類を自動判定する。そのため、分析者の経験やスキルによる分析結果のばらつきが生じず、安定した食中毒菌検査ができるという。

 また、従来の培養法による検査では、食中毒菌の判定までに4日を有していたものが、開発されたシステムでは、26時間で分析を完了することができる。そのため、食品工場では出荷前検査を実施して翌日の出荷が可能となるなど、より安全安心な食品の提供に貢献するとしている。

 分析できる食中毒菌は、サルモネラ属菌、O157大腸菌、リステリアモノサイトゲネス、リステリア属菌、カンピロバクター属菌となっている。システムは、測定機器と専用パソコン、アクセサリーキット一式で構成され、240万円(税別)で販売される。

 開発システムは、国内では、食品衛生検査手法の公的基準となっている「食品衛生検査指針 微生物編 改訂第2 版 2018」にも採用され、米国やフランスの第三者認証機関からも認可された、信頼性の高い公的分析手法となっている。

食中毒菌を迅速に自動検出するシステム開発 従来の1/4の時間で スリーエム