韓国には「火病」(ファビョン)という韓国特有の病気があるが、その原因はストレスや鬱憤とされている。

【注目】年間11万人が“火病(ファビョン)”に苦しむ現代韓国。なぜ火病は韓国特有の病気なのか

そんな鬱憤がたまった状態の人が、韓国で過半数を占めていることがわかった。

ソウル大学の幸福研究センターが公開した「韓国社会と鬱憤」という研究結果によれば、韓国成人男女(2024人対象)の54.6%が、“重度の鬱憤”または“危険な鬱憤”であるという。

鬱憤がたまれば、「心的外傷後ストレス障害」(Post Traumatic Stress Disorder、PTSD)につながる。韓国3大紙のひとつ『中央日報』は以前、“鬱憤障害”という言葉を使って以下のように説明していた。

「もし感情に傷を与えて鬱憤を感じさせることを経験したり、考えるたびに繰り返し腹が立ったりして自らを憂鬱に不幸にするような考えが繰り返されるならば、鬱憤障害を疑わなければならない」

鬱憤障害の患者が主に感じる感情は「鬱憤・怒り・無気力感」(『中央日報』)だそうで、とにかく心的ストレスがたまっている状態なのだろう。

今回の調査結果では、韓国人の14.7%は日常生活に支障をきたすほど“重度の鬱憤”を感じながら生きているという。この14.7%という数字は、ドイツ(2.5%)の6倍近い数字だ。

ちなみにドイツと比較しているのは、今回の研究がドイツで使われている調査方法を韓国に適用したものだからだという。

それにしても、なぜ韓国では鬱憤がたまる人が多いのか。

今回の研究責任者であるソウル大学のユ・ミョンスン教授は、こう答えている。

「感情が傷つき、とても不当だったり不公正だったりしたときに鬱憤がたまる。特に自分がした努力と貢献がやりがいとして返ってくるのではなく、その逆で“無効扱い”されると大きく鬱憤がたまる」

実際に、今回の調査では「ときに自分は本当に一生懸命やっていると思う」という項目に66.7%が同意する一方で、「努力は認められないのに一度の失敗で批判を受ける」という項目にも64.1%が同意していた。

韓国社会が努力や成果が認められない「無効社会」(ユ教授)であるために、悔しい感情が生まれて鬱憤がたまっていく人が多いわけだ。

何よりも興味深いのは、韓国人の鬱憤の“根本原因”だ。ユ教授はこう解説している。

「鬱憤を生じさせる源泉は、裏切りだ。大小問わず、約束をしたら守らなければならない。裏切りが累積すると社会が公正だという信頼が下がる。鬱憤がたまっている人は、社会に対する信頼度も低いことが確認された」

逆説的になるが、韓国では約束を破る人が多いから、鬱憤がたまる人も多いということになる。“身から出たサビ”と言ってしまえばそれまでだが、なんとも皮肉な話だ。

ユ教授は男女の違いについても、「男性は正義に反すること、責任を取るべき人が逃れること、復讐心を感じさせることに対して、鬱憤がたまりやすい。女性は感情を傷つけ、自分を不幸にすることの影響を受けやすい」と分析している。いずれも韓国社会で散見できる事例だろう。

世界的に見て韓国の数字だけが異常に高いのかどうかは、今のところ不明とのことで、ユ教授は「その研究を2019年の課題として考えている」と話す。

それでも「ろうそく集会や太極旗(韓国国旗)集会にすべてをかける生きかた、10代から財テクに悩んで高度のストレスのなかで生きている社会は、正常ではない」と指摘した。

いずれにしても鬱憤がたまっている人が非常に多い韓国。改善のためにもさらなる研究を進めてもらいたいものだ。


(写真提供=SPORTS KOREA)


(文=S-KOREA編集部)

(写真提供=SPORTS KOREA)