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 2018年12月、アメリカ、ミネソタ州に住むジェイ・ミッチェルさんは27年間連れ添ってきた最愛の妻キャサリンさんをガンで失った。

 失意の底に沈むジェイさんは、自分の持てるすべてのお金を妻の葬儀に使った。ジェイさんにはこの世に未練がなかったのだ。

 生きる希望を失っていたジェイさんを現世につなぎとめたのは愛犬のヒーローだった。ヒーローは彼に残された唯一の家族だということに気が付いたジェイさんだが、運命は過酷だ。

 家賃が払えず住んでいた場所を追われることになったジェイさん。ヒーローとトラックで寝泊まりをしていたが、激しい寒波が彼らを襲う。

 

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最愛の妻を亡くし住処を失ったジェイさん

 ヒーローは農場で生まれ生後8週間経った頃、ジェイさん夫婦によって15ドルで買われた。それ以来ずっとヒーローはジェイさん夫妻と一緒に暮らしてきた。

 「ヒーローはたった1匹の私の家族だということに気づいたのです。今この世に生きている家族はヒーローだけなんです。」

 真冬のミネソタは極寒だ。マイナス20度の夜をヒーローとジェイさんは毛布でくるまりながら暖を取り、ジェイさんの古いトラックで生き延びてきた。

 「毎時間がサバイバルでした。」と語るジェイさん。最も冷え込みが激しくなる時間のみトラックのエンジンをかけて何とかやり過ごしていたそうだ。


 絶望の中で、ジェイさんはヒーローだけでも暖かいところに預けたいと考えた。しかし、氷点下の世界でジェイさんが唯一温もりを感じられる相手もヒーローなのだ。

 だけどこのままではどうにもならない。ヒーローを安全なところに預けなくては。でもヒーローにそばにいてほしい。ジェイさんの心は激しく揺れた。

教会に助けを求めたところ凍傷が発覚。すぐに病院へ

 その後ジェイさんは近くの教会に助けを求めた。すると教会の人々はジェイさんとヒーローを1週間ホテルで保護してくれた。

 やっと室内で体を温めたジェイさんは自分の足が凍傷で激しく痛むことに気づいた。

 「もう何日間も暖かさを感じたことなんてありませんでした。あまりの寒さで感覚を失っていましたが足の指がひどい凍傷でやられていたことに気づきました」とジェイさんは語った。

 ジェイさんは足の指の治療のため大きな病院に運ばれることになった。


ヒーローのことが気がかりで早々に退院


 激しい痛みを感じながらも、ジェイさんが思うのはヒーローのことだった。ジェイさんはヒーローのことが気がかりで、病院の反対を受けてもなおヒーローのもとに向かった。

私は妻と20年前に約束したんです。家族のだれ一人として置き去りにしない、寂しい思いはさせないと。その約束の中にはヒーローも含まれているんです。

犬のために愚かだと思う人もいるかもしれません。しかしヒーローは私にとってたった一人の息子同然の存在なのです


 肉体的な痛み以上にジェイさんは心痛で苦しんでいた。

 ヒーローを手放したくない。でもこのままでは彼と一緒にいられない。

善意の第三者により救いの手が!そこから広がるやさしさの連鎖

 そんなジェイさんに1本の電話が入る。一組の夫婦が、ジェイさんの窮状を知りヒーローを必要なだけ預かってくれるというのだ!

 ヒーローを預かってくれたガンフィールド夫妻はヒーローの世話だけでなく、ジェイさんのためにクラウドファウンディングも設立してくれた。

 ジェイさんの回復を祈り、ヒーローとともに暮らせるようにしてあげたいと願う人から多くの寄付が集まった。

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image credit:Go Fund Me

 ジェイさんは突然の出来事に胸を詰まらせた。

こんな奇跡のようなことが起こるなんて思ってもいませんでした。足の傷が治ったらまたホームレス暮らしに戻るのだと思っていたんです。もう希望なんて何も残っていないとさえ思っていたのに

再び前向きに生きる希望が

 ジェイさんはまだ完全に問題を解決したとは言えない。足の指は何本か切断した。ひょっとして今後の状況次第では足も失う可能性もあるそうだ。

 しかしジェイさんは体力以外の大事なものを取り戻した。それは何より大切なもの、生きる希望だ。

 ジェイさんの治療にはまだ時間がかかるが、ジェイさんに焦りはない。着実に回復をしたその先にたった1匹の家族であるヒーローとの暮らしが待っているとわかっているからだ。

 その頃には長い冬も終わり春が来ることだろう。

References: written by kokarimushi / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52271195.html
 

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