結婚以来、賃貸マンションに住んできたNさん夫妻。
「若干狭く、収納も十分になかったので、ものがあふれがち。もっと自分たちに合った間取りに住みたい」と新居探しを始めたそうです。
そして、大阪府大阪市の住み慣れたエリアで、中古マンションを3,600万円で購入しました。
平成10年築、専有面積が以前よりも広い82.62平米で、眺望のよい南東角部屋という申し分のない物件です。
当初は新築も考えたそうですが、予算面に加えて「どこも画一的ま間取りと内装で面白くない」と中古購入+リノベーションを選択しました。
リノベ工事費は980万円(税込み。設計料、施主支給分は別途)。
“セリア”のアイテムだけでOK!ガスコンロ「グリル排気口」は掃除しなくていい!?開放的なリビングにはサンルームも!
設計はもともと知り合いだった佐藤伸也さんが代表を務める、佐藤伸也建築設計事務所に依頼しました。
佐藤さんの自邸の間取りやテイストに魅力を感じたそうです。
間取りで大きなポイントになったのは、やはり収納スペースの確保。
さらに、広いリビングや回遊性のあるキッチンなどもリクエストしたそうです。
リノベ前は東側に個室が並ぶ3LDKでしたが、個室は寝室として使う和室のみにしました。
LDKは隣接する和室やその他の空間とも一体化できるつくりで、全体を大きなワンルーム感覚で使えるようになっています。
冷暖房効率を考えた間仕切りには、視界を遮ることのないガラス戸を採用しました。
LDKは個室があったスペースも取り込み、南側全体を使った大空間に。
天井もスケルトンにすることで、より広く感じるようになりました。
リビングには植物を育てるのが好きだという夫妻のために、室内干しにも使えるサンルームを併設しています。
サンルームはあえて囲い込まず、スチール製の可動パーティション3枚を気分に応じて動かせるようにしました。
リノベ前はペニンシュラ型だったキッチンですが、90度回転して南側へ移動。回遊性のあるアイランド型に変更しました。
キッチンは向きを変えることで大きなカウンターを据えるスペースが生まれました。前面はすべて収納として活用しています。
キッチンはサンワカンパニーが無印良品とコラボし、機能美を追求したMUJI+KITCHENです。
バックキャビネットはそのデザインに合わせて造作したもの。
キッチンカウンターは水はね防止用に、手元を少し立ち上げました。
キッチンがあった場所には、廊下に少し飛び出すような形になっていたトイレを移動しました。
移動したことで広くなり、手洗いカウンターや小棚も設置することが可能に。
リノベ前のトイレは洗面室にもくい込む形になっていましたが、トイレの移動で洗面室も空間を広くするこができました。
洗面台はモザイクタイルで見栄えよく仕上げています。全体にワイドにつくったため「夫婦で場所の取り合いがありません(笑)」と妻。
収納力の秘密は玄関横のW.I.Cと小上がり!
「買い物と旅行が夫婦共通の趣味で、たくさんの靴や洋服、旅行カバンなどをきちんとしまえる場所を確保することが課題でした」と夫。
解決策として玄関脇に誕生したのが、外で使うものと衣類などを分けて整理できる大容量のW.I.Cです。
大型の引き戸を閉めれば壁のようになり、すっきりと見えます。
「玄関横にあるから、帰ってきてそのままコートが掛けられたり、外出の際に上着を羽織って玄関の鏡でチェックできたり、便利ですね」と妻。
さらに、佐藤さんはこのW.I.Cにひと工夫加えました。
「ウォークインクローゼットから奥の居室へつながるウォークスルーにして、家全体に回遊性を持たせました。帰宅時の動線がスムーズになり、間取りに面白みも出ますから」。
また、寝室として使う和室を小上がりにすることで、床下を収納としても使えるようにしました。
小上がりは分割して移動させることもできます。
小上がりに面する東側の窓辺は、玄関収納とリビングをつなぐ裏動線として機能するとともに、多目的スペースとしても活用しています。
課題だった収納ですが「まだまだ余裕があります」と夫が語るとおり、十分に確保することができたようです。
このリノベーションをもっと詳しく見たい方は、ぜひ『リライフプラスvol.28』も参考にしてみてくださいね。
※物件価格、工事費、ご家族の年齢等は取材時のものです。
設計/佐藤伸也建築設計事務所
撮影/山田耕司
コメント