電話から聞こえてくる音だけを頼りに、ある誘拐事件の解決を図る『THE GUILTY/ギルティ』(2月22日公開)。第34回サンダンス映画祭で観客賞を受賞するなど、高い評価を集める本作の公開を機に、“電話”が主役となっている傑作映画を紹介したい。

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■ 様々な音の使い分けで観客をリードする『THE GUILTY/ギルティ

まずは話題の『THE GUILTY/ギルティ』から。本作は、ある事件から現在は一線を退き、警察の緊急通報司令室のオペレーターとして勤務する主人公アスガー(ヤコブ・セーダーグレン)が、いままさに誘拐されているという女性から通報を受け、声とかすかな音を頼りに捜査を進めるというもの。雨や車の発信音などの電話から聞こえる音、キーボードを叩く音といった司令室の環境音、アスガーの頭の中だけで鳴っている主観的な音など、様々な音の聞こえ方や音量などを巧みに調整することで、観ている者に情景を浮かび上がらせ、意外な着地点へ導いていく演出は見事だ。

■ 通話が切れたら、すべてが終わる…!スリル満点の『セルラー』(04)

そんな本作に似た設定の作品が『セルラー』。自宅で強盗に押し入られた女性ジェシカ(キム・ベイシンガー)が、ある部屋に誘拐・監禁されてしまい、部屋に捨てられた壊された電話を組み直して、たまたま電話がつながった見ず知らずの青年に助けを求める…というものだ。なによりスリリングなのが、いつ壊れてもおかしくない電話、バッテリーが切れそうな携帯など、リミットがある状況。そんななか、彼女の居場所を見つけ出すことができるのか!?そのハラハラ感は格別!

■ 日本の話にも似た都市伝説が題材の『夕暮れにベルが鳴る』(79)

日本には「メリーさんの電話」という有名な都市伝説があるが、実はアメリカにも似たような話があり、それを題材とした作品が『夕暮れにベルが鳴る』だ。広い邸宅でベビーシッターをするジル(キャロルケイン)。ある夜、何度か無言電話が続いた後「子どもの様子を見たか」という不気味な男の声の電話が屋敷にかかってくる。不審に思ったジルは警察に通報するが、逆探知の結果、その電話は“屋敷の中から“かかってきていることが判明し…。顔が見えないならではの薄気味悪さ、徐々に近くにいることを匂わせる演出が恐怖をあおる。本作は、のちに『ストレンジャー・コール』(06)としてリメイクもされるクラシックであり、また同じ都市伝説を扱った作品に「暗闇にベルが鳴る」(74)もある。

■ いまでは見なくなった“あれ”が舞台!『フォーン・ブース』(02)

フォーン・ブース』は、最近はめっきり見かけることが少なくなった公衆電話を舞台したサスペンス。近くの公衆電話への着信に出てしまった自称一流メディアコンサルタントのスチュ(コリン・ファレル)。その電話は彼に恨みを持つ人物からのものであり、しかも受話器を置いたら銃で撃ち殺すと脅され、窮地に陥ってしまい…というストーリーだ。電話ボックス内だけで話が進んでいくワンシチュエーションスリラーであり、公衆電話の匿名性や密室という空間をうまく使った、斬新なアイデアラストには驚かされること間違いなし!

■ 映画1本、丸々会話のみ!『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』(13)

最後に紹介する『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』も同じくワンシチュエーションドラマ。建設現場で監督をする男性アイヴァンロック(トム・ハーディ)が、以前、関係を持ってしまった女性の分娩に立ち会うため、翌日には大量のコンクリートが搬入される現場や、彼の帰宅を家族が待ちわびる状況の中、ロンドンへ向かうという物語。ロック一人だけにカメラを向けており、会話劇で彼の置かれている状況を伝える脚本は見事。ワンシチュエーションのため一見退屈そうに思えるかもしれないが、現場の問題や、妻への説明など、次々に問題が起きる、目まぐるしい展開のエンタメ作品となっている。

どの映画も、緊張感が音から伝わってくる快作ばかり!静かな空間で“耳を澄ませて”じっくりと鑑賞してほしい。(Movie Walker・文/トライワークス)

電話から聞こえてくるかすかな音を頼りに誘拐事件の解決に挑む『THE GUILTY/ギルティ』