Credit: elitedangerous
Point
・大規模宇宙フライトシムゲームの仮想空間で宇宙航行の最長記録を目指すプレイヤーが遭難
・大勢にとって未知の暗闇からプレイヤー救出を行うチームが結成される
・遭難から約三ヶ月の今月23日頃に救助艇によるオペレーションが山場を迎える予定

宇宙に取り残される―。

そんな映画のような出来事が、大規模ゲームの世界で起こってしまったようです。もしかしたら将来、現実世界の宇宙で起こり得るトラブルの先取りができるのかもしれません。

暗闇の宇宙で遭難

Frontier Developments社から提供されているゲーム、『Elite:Dangerous』。このゲームは天の川銀河系の宇宙空間を舞台にしたMMORPGで、プレイヤーは宇宙船の船長として宇宙船を使った機動戦、スペースフライトシムシューティングを楽しむことができます。ゲーム市場最大規模のワールドの広さ、操作の自由度の高さ、そして夢とロマンのある作風が人気の作品です。

そんなゲームの世界の中の広大な仮想宇宙空間のただ中で、あるプレイヤーが遭難してしまいました。今回遭難したは、宇宙船の長距離航行に5度成功しているベテランプレイヤーです。今回も自身の長距離航行の記録を伸ばそうとフライトを初め、約10日かけて太陽系から約6万5000光年のポイントで自身の最高記録を塗り替え、その先の世界を突き進んでいました。

Deluvian Reyes Cruz氏の投稿 / Credit: forums.frontier

ところが出発から42日のこと。疲れによるミスからか、宇宙船の燃料を使い果たしてしまい、暗闇の宇宙で立ち往生する事態に陥りました。彼はゲームの公式掲示板に、自身の視点から見える天の川銀河系の画像と「私はここに残ります」といった投稿。彼の宇宙旅行は終わったかのように見えました。

救出

しかし彼を諦めない人たちがいました。事件から約1ヶ月の時間を経て、「The Fuel Rats」と呼ばれる集団が掲示板に声明を投稿。その声明とはまさしく、銀河の果てで立ち往生中のDeluvian氏を救出する計画についての発表でした。

Credit: elitedangerous

そして漂流生活が約2ヶ月を迎えた1月26日、「The Fuel Rats」による史上最大の救出オペレーションが公開されました。オペレーションではDeluvian氏のもとへ、141光年の距離から救助艇2機がアプローチを行うことに。本オペレーション最大の山場である、Deluvian氏のもとへのアプローチは現地時間の23日ごろを予定しているそうです。

ゲームの中とはいえ、自分が3ヶ月間宇宙で遭難するという小説より奇妙な漂流譚。体験談は一生モノでしょうし、実際の宇宙トラブルを先取りしたような事件は、現実の宇宙開発にも参考になるところがありそうです。

現実の自分の身体は自由でも、そしてどれだけゲーム外のSNSとかで会話ができたとしても、相当入れ込んでるゲームの中で孤独になることは、また別種の辛さがあるかもしれませんね…

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reference: forums.frontier 他 / written by 白大根
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