K-POPアイドル・グループのBLACKPINKが先週、4月にキックオフする初の全米/カナダ・ツアーを発表した。

 Goldenvoice(ゴールデンヴォイス) とPowerhouse(パワーハウス)がプロデュース、YGエンターテインメントがプレゼンツ、Kiaがスポンサーの北米ツアーは、2019年4月の【コーチェラ・フェスティバル2019】出演の間に当たる17日に米ロサンゼルスのザ・フォーラムで開幕し、3週間かけてイリノイ州シカゴカナダ・オンタリオ州、ニュージャージー州ニューアークジョージアアトランタ、そしてテキサス州のダラスとフォートワースの6か所を回る。

 2016年にBLACKPINKとしてデビューしたジェニー、ジス、ロゼ、リサの4人は、2018年6月に「DDU-DU DDU-DU」が米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で55位に初登場したことで、同チャート史上最高位を記録したK-POPガール・グループとなった。その4か月後にはインタースコープ・レコードとYGエンターテインメントのグローバル・パートナーシップの一環として同レーベルと契約し、今年の1月上旬に【コーチェラ】出演が発表された。

 順調に成長を続けてきたBLACKPINKは、アジアではすでにアリーナ級のコンサートをソールド・アウトさせる人気を誇るが、一度もライブをしたことがない北米地域でいきなりアリーナ・ツアーを敢行するのは異例で、彼女たちの人気が急上昇していることを如実に物語っている。

 「今は好きな音楽やアーティストをインターネットで見つける時代だ。ポップやK-POP音楽のファンは、世界中でその音楽を見つけている」と、AEG Live/ゴールデンヴォイスの上級副社長スーザンローゼンブルース(Susan Rosenbluth)は言う。彼女とゴールデンヴォイス社長で【コーチェラ】の共同設立者ポール・トレット(Paul Tollett)は、BLACKPINKが登場した時から気に留めていたそうだ。「(K-POPには)確実にファン層があり、それが特定の人種に限られていない。K-POPはアジア人だけのものではない」とローゼンブルースは分析している。

 BLACKPINKのFacebookには300万人のファン、インスタグラムには1,579万人のフォロワー、そしてYouTubeチャンネルには1,920万人の登録者がいることからも、彼女たちはネット上では米国のアリーナ級アーティストに引けを取らないグローバル人気を誇っている。このことからも、北米地域でライブ経験のない彼女たちのアリーナ・ツアーをいきなりブッキングすることにためらいはなかったとローゼンブルースは語っている。

 今年2月上旬にBLACKPINKは、米ロサンゼルスで開催されたユニバーサルミュージック・グループによる毎年恒例の【グラミー・アーティスト・ショーケース】に出演し、『ザ・レイト・ショー・ウィズスティーヴン・コルベア』と『グッド・モーニング・アメリカ』でパフォーマンスを披露した。ローゼンブルースは、スタッフとこれらのテレビ出演を注視した上で、熱心に応援するファンの姿や彼女たちを取り巻く熱狂ぶりに満足したと語っている。

 BLACKPINKの北米アリーナ・ツアーのチケット発売日の前日に、BTS (防弾少年団)もワールド・ツアーの追加スタジアム公演を発表した。昨年開催された彼らの米国初スタジアム・コンサートはものの数分で売り切れたが、ここ2年ほどで急速にグローバル現象となったBTSは、いろいろな意味で北米地域におけるK-POPライブ市場の好機を体現する存在となっている。

 BTSの勢いに続けとばかりに、ほかのK-POPアーティストたちも米国進出を始めている。EXOGOT7はアリーナ・コンサートや、年々規模と日数が拡大しているKCON(K-POPコンベンション)でパフォーマンスを披露しているほか、MONSTA Xは今年9月に開催される【2019 iHeartRadio Music Festival】に出演することが最近発表され、BLACKPINKはK-POPガール・グループとして初めて【コーチェラ】に出演する。

 BLACKPINKにBTSと同レベルの結果を期待するのは不公平かもしれないが、ゴールデンヴォイスと今回のツアー・パートナーたちは、彼女たちの初北米ツアーの際にはファンからBTSA.R.M.Y.同様の熱意が感じられることを願っている。ローゼンブルースは、「(BLACKPINKの)熱心さには偽りがない。真の意味で信頼性のあるアーティストが、このような状況で最も成功するものだ。そしてBLACKPINKの音楽性もさることながら、彼女たちからはある程度の信頼性が感じられるところがとても気に入っている」とコメントしている。

【コラム】BLACKPINK、北米でライブ経験がないにも関わらず何故アリーナ・ツアーが決定したのか