自分の意思とは裏腹に、セクシャルな妄想に突然襲われる毎日――。コメディドラマPure』は、そんな実在の症状を、明るく温かく、そして刺激的なビジュアルで描く作品。空想癖に悩む女性が、ロンドンでの新生活をスタートする。英Channel 4で1月下旬から放送中。

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♦︎10年心に秘めてきた症状


両親の結婚数10周年を祝うパーティーに出席した、24歳のマーニー。娘として素晴らしい祝辞を送ろうとするが、舞台の上で言葉を失ったきり、その場に崩れてしまう。彼女の意思に反し脳裏を支配していたのは、来賓たちのスーツドレスが裂かれ、淫らな宴が始まるという妄想。彼女が患う強迫性障害は、タブーが繰り返し脳裏を駆け巡る疾患だ。もう10年も性的な幻想に悩まされているが、大切な両親のセレモニーでも症状が現れ、マーニーはショックを隠せない。

治療を切望するマーニーは、夜行バスに飛び乗り、ロンドンの医者を訪ねる。バスの中には当然のように、全裸の乗客たちの幻影が。医院に辿り着くも、目ぼしい情報が得られないばかりか、医者から性的行為を受けるという予想外の想像に襲われる。いっそのことレズビアンに転向しようと酒を煽るが失敗し、酔った勢いでギャングと友だちに。

散々な出だしだったが、誰もが他人に深入りしない都会は、地元で症状の露見に怯えて暮らしていたマーニーにとって新しい居場所に。全6話のシリーズは、ロンドンでの新生活を描く。

♦︎マーニーには実在のモデルが


主人公マーニーのキャラクターは、実際の女性患者、ローズカートライト氏による自叙伝をベースにしている。ドラマ化にあたり、自身もパニック障害を患うというカースティ・スウェイン氏が脚本を手掛けた。このような取り組みは果敢であり、ドラマの仕上がりも素晴らしいGuardian紙は賛辞を贈る。

ダークでウィットに富んだコメディ作品、と紹介するのはTelegraph紙。疾患のせいで日常に突如悲劇が訪れる彼女の暮らしは、見ていて切なさが込み上げることも。モデルとなった実在のローズは、15歳という若さで症状が発現した。彼女の抱えた羞恥心と孤独を、かなり直截的な描写で再現する。

♦︎誰もが理解できる物語


マーニーが日々対峙している空想は、かなり性的なもの。その対象は彼女の身内から歯医者や馬にまで至り、内容もかなり際どい。しかしGuardian紙は、彼女の体験は何も特別なものではないはずだと語る。誰もが一度や二度は、想像に歯止めがかからなくなった経験はあるもの。その後に襲いくる虚しさや恐怖も理解できるだろう。あまりオープンに語られることのない精神疾患について、数々のコミカルシーンを通じて予想以上のことを教えてくれる。マーニーとともに笑う本作だが、決してマーニーのことを笑う作品にはなっていない、と同紙。

主演は新人女優のチャーリークライブトラウマを抱えた仔犬のような目が印象的、とTelegraph紙。純粋なマーニーの意思とは裏腹に、日常生活のあちこちでポルノ顔負けのシーンが始まる。突如として出現する幻のビジョンは、英国アカデミー賞へのノミネートの実績を持つアネイル・カリア監督(『Work(原題)』)の手で映像化。日常シーンからの急激なスイッチが衝撃的だ。

鮮烈な映像と、温もりのあるジョーク。意外性に満ちた毎日をオープンに描く『Pure』は、英Channel 4で放送中。何話まで見たかわからくなっちゃう、人生で何日何時間を海ドラに費やしてるか知りたい!という人は【海外ドラマデータベース】で視聴記録を取ろう。(海外ドラマNAVI

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