国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 2月19日両国国技館で「ジャイアント馬場没20年追善興行」が開催され、昭和のプロレスファンが大集結したことが報じられました。アントニオ猪木参議院議員の入場で開幕し、猪木議員は大声援で迎えられたそうです。神澤をはじめとする国会女子からは「税金の無駄遣い議員ナンバー1」という悪評しかない猪木議員ですが、昭和のプロレスファンにとってはまだ“神様”なんですね。

 見に行った秘書仲間によると、猪木議員は杖をつきながらも自分の足でリングに向かったそうです。「リングに上がると、生前の馬場さんからの対戦オファーを受けてしまうことになるので、リング下からあいさつします」とおっしゃったそうですが、実は自力ではリングに上がれないようだったといいます。そして、もちろん恒例の「1、2、3、ダーッ!」という元気なかけ声で締めくくったそうです。

「国会の質疑もあのくらい大きな声でしてくれたらいいのに……」というのが秘書仲間の感想で、私もそう思いました。ファンたちの声援はもはや絶叫といってもいいくらいだったそうで、猪木議員はそのおかげで参議院議員選挙の比例区で当選したのですから、もっと国民のために働いてくれたらいいのですが。

 会場には、ゲストとして出席した馳浩衆議院議員の姿もあったそうです。馳議員は国会議員に当選後も新日本プロレスから全日本プロレスへ移籍して、リングで戦われています。日頃から衆議院議員会館の健康センターハードトレーニングを続けているので、ファンたちは「どこかで飛び入り参加されるのでは」と期待していたようです。しかし、残念ながらスーツを脱ぐことはなかったようで、最前列で先輩方の試合をとても楽しそうに観戦されていたそうです。私も行きたかったです。

 思えば、プロレス界から政界入りする人は少なくありません。たとえば、西村修(文京区議)、土方隆司(狭山市議)、木村健吾(品川区議)、スペル・デルフィン(和泉市議)、澤田敦(我孫子市議)の各議員は現職で活動されています。元議員には、大仁田厚(元参院)、神取忍(元参院)、ザ・グレート・サスケ(元岩手県議)の各氏のほか、少し前に後楽園ホールで「御年77歳」で裸になって話題になった「将軍KYワカマツ」こと若松市政氏(元芦別市議)もいらっしゃいます。

 プロレスに詳しい秘書仲間によると、プロレスラーはそれぞれ自分の「キャラクター」を設定してリングで戦うそうで、設定にはいろいろな場面を想定して、シリーズストーリーもつくられるようです。その過程が選挙戦と通じるものがあるといい、プロレスでいう「チャンピオン」という目標は選挙の「当選」と同じなのかもしれませんね。

杉田水脈議員の“キレキャラ”は設定だった?

 国会にもいろいろなキャラの議員がいらっしゃるわけですが、プロレスとは違うのですから、あえて設定する必要はないと思います。とはいえ、キャラを無理に設定しているといわれているひとりが、自民党杉田水脈衆議院議員です。

 先日の予算委員会室内での「小競り合い事件」は国会の内外で波紋を広げたようですが、このとき見せた“キレキャラ”は杉田議員のもともとの顔ではなかったと聞いています。彼女の古巣である大阪維新の会の維新政治塾で一緒に学んだ人たちは、「昔は西宮市役所の職員出身らしく、まじめで控えめな印象だった」と言っていました。それが衆議院議員に当選すると、ちょっと変わってきます。当時の維新の女性議員たちの女子会の幹事を買って出るなど、リーダーシップを発揮するようになったのです。

 ちなみに、前述の小競り合い事件は自民党の国会対策委員会もからんで続いているそうです。予算委員会がNHKで放送される「テレビ入り」のとき、議員傍聴席を管理するのが杉田議員の役目になっているようなのです。自民党議員たちに座る場所を指示したり、退席した議員の空席を詰めるように指示したりしている杉田議員の姿が、テレビにもバッチリ映っていました。でも、これは野党の質疑時間のときだけのようで、野党への嫌がらせにしか見えません。秘書たちからも評判が悪いです。

 ちなみに、国会内の噂では、神澤の記事を見て激怒した杉田議員が自民党の国対に報告して、野党議員が傍聴席に座れないようにしているそうです。それもどうなのでしょうね。

●二階幹事長の「記憶はないが…」に騒然のワケ

 編集者から「書いたらマズいんじゃないですか?」と言われてきた案件が、自民党二階俊博幹事長の最近の“衰え”ぶりです。2月17日に80歳の誕生日を迎えたそうですが、永田町では数々の不適切発言が目撃されています。先日も、耳を疑うような発言がありました。

 二階幹事長はある議員連盟の会長に就任しているのですが、その就任あいさつの場で、なんと「会長を引き受けた記憶はないが、ご指名なのであいさつします」とおっしゃったのです。控えていた秘書たちは苦笑するしかありませんでした。まさに笑えない冗談なのです。

 失言対策なのか、少し前から二階幹事長には詳細なカンペが用意されていて、このときもそれを読み上げるだけでした。しかし、その声がか細く、会議室の後方にいる秘書たちには全然聞こえてこないのです。これから、どうなってしまうのでしょうか。

 二階派といえば、週刊誌レギュラーとなった片山さつき大臣や失言連発の桜田義孝大臣など“お騒がせ議員”が多数所属していることで有名ですが、さらに田畑毅衆議院議員20代の女性から準強制性交容疑で刑事告訴された問題も浮上しています。田畑議員は2月21日に正式に離党届を出していますが、今後の捜査によっては議員辞職も免れないでしょう。

 そうなると、岸田派の吉川赳元議員が繰り上がり当選することになりますが、吉川元議員は二階派への移籍で問題になった細野豪志衆議院議員と同じ選挙区です。そのため、次の総選挙で細野議員が公認を得るためのハードルはとても高くなります。自民党内の派閥闘争もおもしろくなってきました。

 プロレスファイトエンターテインメントですが、永田町ファイトはときには命が失われるほど陰湿です。些細なものから恐ろしいものまで、永田町では今日も至るところでバチバチ火の粉が上がっています。
(文=神澤志万/国会議員秘書)

自民党の杉田水脈衆議院議員(写真:日刊現代/アフロ)