余命幾ばくもない女性が最期に望んだのは、「夫と一緒にビーチで夕焼けを見ること」だった。彼女の願いを叶えるために家族や救急隊員、慈善団体が協力し合い、愛する家族と一緒に海辺の夕焼けを見ることができた女性は、その2日後に息を引き取ったという。『Mirror』などが伝えている。

豪ニューサウスウェールズ州シドニーに住むカルメンレオン・デ・ラ・バーラさんの最期の数か月は、末期がんとの闘いだった。

チリ出身のカルメンさんは10歳の時に、将来の夫となるアントニオさんに出会った。1989年シドニーに移住し、6年後には郊外で夫とともに会計事務所をオープンした。仕事帰りの渋滞を避けるためというのが理由だったそうだが、25年近くにわたりカルメンさんは愛する夫と毎日一緒にブライトン=ル=サンズのビーチを散歩することが何よりの楽しみだった。しかし大腸がんが発覚し、カルメンさんの容態はビーチへの散歩もできないほど悪化。2~3か月前に「Mount Druitt Palliative Care(マウント・ドルイット緩和ケア)」へ入院して緩和ケアを受けていた。

カルメンさんの余命が数日であることを医師から伝えられた家族らは、最期の願いを叶えてあげたいと、末期がんの患者の夢を叶えるオーストラリア拠点の慈善団体『Dreams2Live4』に連絡し、カルメンさんの状況を伝えた。すると、彼らは1日も経たないうちにカルメンさんをビーチに連れて行く予定を立て、2月13日にニューサウスウェールズ州救急隊員らの協力も得て、カルメンさんは夫との思い出の場所を訪れることができた。

病院側のサポートにより、カルメンさんは病室のベッドのまま毛布をかけられた状態でビーチへとやって来た。そばにはアントニオさんと娘のタチアナ・サロウムさん、息子2人とそれぞれのパートナーたち、そして9人の孫のうち7人が付き添い、カルメンさんは目の前に広がる海に沈む夕焼けを眺めたのである。母にとって特別な場所に連れてくることができたことを喜ぶタチアナさんは、このように語った。

「母は願いが叶えられてとても幸せそうでした。ビーチに着くと、母はなんとか目を開けて、自分がどこにいるかを知ることができたようです。」

アントニオさんに優しく手を握られ、愛する家族に見守られながら、最期となるビーチを目の前にしたカルメンさんの心にはどのような思いが溢れていただろうか。その2日後の2月15日の夜、カルメンさんは家族全員に看取られ、病室で静かに息を引き取った。

カルメンさんの家族は、惜しみないサポートを示してくれた病院や救急隊員、慈善団体の職員らに感謝の言葉を述べている。このニュースを知った人からは、「末期がんで辛かったと思うけど、最期の願いが叶えられて良かった。どうぞ安らかに」「がんがいかに恐ろしいかということを実感せずにはいられないけれど、末期患者のために尽くしてくれた人たちの優しさには胸を打たれた」「悲しいけれど、美しい。家族でまた1つ素敵な思い出が増えたね」といった声があがっている。

画像は『Mirror 2019年2月17日付「Dying mum taken to beach in hospital bed so she can watch sunset one last time」(Image: Ambulance NSW)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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