1月29日、20代女性に暴行してけがをさせ、傷害容疑で逮捕された20代男性が2月8日に釈放。もし、この容疑者が元・光GENJI大沢樹生氏の「元息子」である大沢零次氏でなければ、釈放の瞬間が大々的に報じられることもなかったでしょう。

 DNA鑑定した結果、喜多嶋舞さんとの間の息子と大沢樹生氏が「親子ではない」と判明したことが大きな話題になったのは4年前のこと。今回、再度大きな注目を集めた理由は、第1に「元息子」という聞き慣れない続柄で呼ばれたこと、第2に元息子のご尊顔が公衆の面前にさらされたので本当の父親探しに熱が入ったこと、第3に元息子の容姿がなぜか「元父親」にそっくりだったことなどが挙げられますが、気になったのは「交際相手への暴力」という点。

 どのような事情で彼が愛すべき彼女を傷つけたのか…詳しくは報じられていませんが、彼が「愛情表現とは何ぞや」を知っていたのかは甚だ疑問です。なぜなら、両親、父親、祖父母の順にたらい回しにされたせいで、愛してくれた人を失うという苦痛を何度も強いられてきたのだから。

 特に、心を許していた大沢氏の裏切りは彼の人間不信に拍車をかけたのではないでしょうか。「本当の父親」ではないけれど、「育ての親」であることに変わりはないので、あえて戸籍の父親欄に名前を残すという英断もありえたでしょう。それなのに「元息子」と報じられているので、家庭裁判所へ親子関係不存在の申し立てをし、裁判所の許可を得て、わざわざ戸籍の父親欄を抹消したのでしょう。ただでさえ傷ついてる彼に追い打ちをかけた格好です。

「いつ裏切られるか分からない」

 そんなふうに相手のことを疑っていると心から信用することは難しいです。だから少しでも裏切るような素振りを見せたら、これ以上、傷つきたくないという一心で過剰反応するのです。引き止めるためなら手段を選ばないという感じで思わず、手を上げてしまったのかもしれません。

 愛されれば愛されるほど不安が膨らんでいくのは皮肉なものですが、愛情表現の稚拙さが複雑な出自や特殊な家庭、そして過去の悪夢によるものなら、母親や「本当の父親」は加害者、そして彼は被害者だと言えるでしょう。望む、望まないにかかわらず、深い心の闇を抱えて生きていくことを押し付けられたのだから。

 司法統計(平成24年)によると、親子かどうかを争う事案(親子関係不存在確認の申立件数)は1365件も存在するので、今回のケースはあくまで氷山の一角に過ぎません。「不倫の子」が世の中に一定数、存在する事実から目を背けてはいけないでしょう。まだ結婚しているのに妻が「別の男」の子をはらんだことに気付いたとき、夫はどのような判断をするのでしょうか。今回は、妻の出産を認め、父親になる覚悟をし、夫婦の子として育てることを決断した吉原健さん(36歳)の相談事例を紹介しましょう。

夫を「育児の協力者」としか見ない妻

「妻が妊娠していることが分かったのは14週目です!」

 悩ましい表情で苦しい心情を吐露してくれたのは吉原健さん。吉原さん夫婦は結婚7年目。かわいい妻と娘さん(7歳)に囲まれ、充実した結婚生活を送っている中で授かった第2子だと思っていたのですが…もともと妻とはできちゃった婚。お互いに酔った勢いで肉体関係を結んだだけで、特に付き合っていたわけでもなく、単なる遊び相手。男友達の一人という域を出なかったので妊娠=結婚とは限りませんでした。健さんは妊娠の事実を知らされると、「責任を取らせてほしい」と頭を下げたのですが、妻はなかなか首を縦に振りませんでした。

 好きでもない相手と結婚するなんて…妻は最初、シングルマザーとして1人で育てることも考えたそうですが、父親がいない家庭で寂しい思いをさせるのはふびんです。そこで、妻は「夫婦としてやっていくつもりはないわ。子どもの父親だけならいいけれど」という条件を付け、健さんと籍を入れることを渋々承諾したのです。

 健さん夫婦は結婚7年目ですが、妻は健さんのことを「育児の協力者」としか見ておらず、会話の内容は子どものことに限られ、2人きりで外出する機会もなく、揚げ句の果てには「指一本触れさせないわ!」という感じで夜の性生活を拒み続けるありさま。

「身に覚えがないのでおかしいって思いました!」

 もちろん、健さんは子の父親が自分ではなく、「他の男」だと分かっていたのですが、妻の気持ちを考えると頭ごなしに責めるわけにもいかず、妻が自ら口を開くのを待っていたのですが…妻がようやく気持ちを整理し、自分の置かれた状況を把握し、健さんへざんげしたのは妊娠14週目。産むか堕ろすかを決めるのに全く余裕がないタイミングで打ち明けられても手の施しようがありません。

 妻には、健さんに隠しておきたかった秘密があるようで…相手は妻子ある男性。ダブル不倫なのに避妊せずに性交渉に及び、そして人妻を妊娠させたのです。

 妻いわく、妊娠していることが分かったのは(性交渉から)1カ月目。排卵日を計算しての妊娠だったので気付くのも早かったといいます。当初、妻は「うれしい」と無邪気に喜んでいたそうです。妻は彼に妊娠のことを伝えたのですが、彼は「うれしいけれど身が引き締まる思いだ」と言い、妻の体を心配してくれたそうです。

<家族構成と登場人物、属性(すべて仮名)>
夫:吉原健(36歳)→会社員(年収400万円)
妻:吉原麻美(32歳)→看護師(年収500万円)
長女:吉原加恋(7歳)→小学生
次女:吉原加奈(0歳)→胎児
妻の不倫相手:永井漣(38歳)→勤務医(年収不明)

※「下」に続く

露木行政書士事務所代表 露木幸彦

妻が別の男の子どもを妊娠、そのとき夫は…