小室圭さんが留学した米ニューヨークのフォーダム大学はイエズス会系の名門私立大学として知られています。ニューヨーク州弁護士の位置付け、取得のメリットはどのようなものでしょうか。今回は、フジテレビ系「直撃LIVEグッディ!」の「小室さんのNY留学生活を徹底解剖」にゲスト出演した、徳永怜一さん(以下、徳永弁護士)に伺います。

 徳永弁護士は、ニューヨーク州弁護士です。略歴を紹介します。日本の大学を卒業後、単身渡米し、ルイジアナ州ニューオリンズのTulane University Law School(LLM)に留学。ニューヨークに拠点を移して法律事務所で7年間勤務し、米国の現地企業や日系企業に対する法的助言や契約書などの作成を担当しました。

 実務の傍ら、米国で日本人向けに発行されている生活情報刊行誌に定期的に記事を執筆。現在は外資系IT企業に勤務しています。

ニューヨーク州弁護士のポジショニング

「英語がネイティブではない留学生にとっては圧倒的な勉強量が要求されますが、得られるものは非常に大きいものと考えられます」

 徳永弁護士は留学のメリットについてこのように解説します。

「ロースクール留学という環境は勉強に集中できる環境です。語学留学や学部留学と異なり、英語をツールとして専門的かつ体系的に学びます。よって、法律を学ぶと同時に英語力も格段にアップするからです。また、ニューヨーク市は米国最大の都市で、世界の政治、経済、文化などに多大な影響を及ぼしています」

「つまり、ニューヨーク州弁護士の資格を取ることは、世界を相手にすることと同じです。弁護士が多い米国においても、弁護士はステータスの高い資格と位置付けられており、信用も高いと考えられています。留学することにより、米国の慣習・文化・ビジネスの感覚をつかむことができます。よって、語学と法律だけではない多角的な知識と経験を得ることができるのです」

 さらに、英語と法律を活用することで、論理的思考とアウトプット力が身につくと徳永弁護士は解説します。

「難関とされているニューヨーク州司法試験を突破することにより、自分に自信を持つことができるでしょう。ニューヨーク州弁護士資格保持者には、法曹界だけではなく、ビジネス、政治、芸術などあらゆる分野で活躍している人が多数います」

英語と日本語でのインプットについて

 まずは、出題科目の理解と記憶が必要です。しかし、無理をしてすべて英語で学習する必要はないようです。

「私は日本の法学部出身だったため、日本語で法律を勉強してきました。日本語での基本的知識を活用することにより、効率よく米国法を勉強できました。法学部出身でなくても、まずは用語の意味を日本語で調べて理解する方が早いです。ただし、英語でのアウトプットを前提にインプットするという意識が必要です。日本語を頼りにしすぎると、時間との勝負である試験に太刀打ちできません」

「英語に対する向き合い方も重要です。私は幸い英語が得意な方でしたので、言葉のハンディはあまりありませんでした。それでも、やはりネイティブレベルの読み書きはできていなかったので苦労はありました」

 英語での演習方法について伺います。四者択一試験や記述式試験、過去問に取り組むときはどのようにすればよいのでしょうか。

「英語で読み、英語で答える。その演習が大切になります。四者択一試験では、200問を6時間で回答しなければいけません。1問2分しかないため、英語で読解しながら問題の論点を見つけ出すことが必要です。英語を日本語に変換していては時間内に問題文を読み切ることもできないでしょう。MBE(Multistate Bar Exam)の科目は記述式試験科目も含んでいるため、まずはMBEから学習しました」

「記述式試験はハードルが高いため、四者択一試験でできるだけ高得点を取る方が有利だと判断しました。結果として、それが功を奏しました。英語がネイティブではない受験者にとって、大多数の人が四者択一試験の方が高得点を狙いやすいと思います」

 これで、読者の皆さまも、ニューヨーク州弁護士の位置付け、取得のメリットについて理解できたのではないでしょうか。今回、取材にご協力いただいた徳永弁護士に御礼申し上げます。

※「下」に続く

コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員 尾藤克之

弁護士資格取得のメリットとは?