2019年2月20日の朝に放送されたフジテレビ系の『めざましテレビ』で、アニメ『紙兎ロペ』が前日とまったく同じ内容を放送するという放送事故があった。
考えられないようなミスだが、韓国のテレビ局の場合はどうなのだろうか。
特に、ドラマの放送時に目立っている。
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その理由は過密な撮影日程だ。
韓国ドラマの場合、放送が始まった段階では、まだ数話分しか撮影が終わっていない。ストック分がすぐに底をつき、以後は「撮影しては放送、撮影しては放送」の繰り返し。
最後のほうになると、「ほぼ生放送」と揶揄(やゆ)される。俳優も制作陣も疲労困憊となる。
そして、起こるのが放送事故だ。
たとえば、韓国の地上波では午後10時からドラマが放送される。しかし、放送の直前まで撮影をしている場合が多く、編集が間に合わなくて午後10時に穴をあけてしまうこともある。
こんなときは、10分~20分ほど遅れてドラマの放送が始まったりする。
ただし、地上波の3局はドラマの前はニュースを放送しているので、たとえ午後10時からのドラマ放送ができなくても、生放送のニュースを流して対応する。そんな放送を何回も見てきた。日本ではちょっと考えられないのだが……。
過去には致命的なミスも…
弊害はまだある。
短時間にあわてて編集をしているので、ときには大きなミスが出る。
例えば、話の筋が逆になること。時間の流れで後に入れる場面を前に持ってきてしまって、ストーリーの辻褄(つじつま)が合わなくなってしまったりする。
これは致命的なミスだが、編集に余裕がないからこういう放送事故が起きてしまう。
なお、韓国ドラマに回想シーンが多いのも、撮影の分量を少なくして放送時間を確保するための苦肉の策なのだ。
中でも、特に大きな放送事故として記憶されるのが、イ・スンギ主演のドラマ『花遊記』(ケーブルチャンネルのtvN)だった。
それは、2017年12月24日に放送の『花遊記』第2話のときで、途中から放送が中断して画面はtvNの番組宣伝が続き、結局は最後までまともに放送できなかった。
tvNは編集作業の遅れを認めた。
特に、CG(コンピュータ・グラフィック)の処理に手間取って、放送分のドラマを完成させられなかったのだ。
さらに、第3話以降も放送延期に追い込まれている。
こうした放送事故を防ぐためには余裕のある撮影日程が必要なのだが、今の韓国ではそれができないのが現実だ。
(文=康熙奉)
康 熙奉(カン・ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化や日韓関係を描いた著作が多い。主な著書は『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』。
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