アラフォー以上は当たり前に知っている「共通1次」という言葉。20代30代の中には、ピンとこない人も結構いるだろう。

 共通1次とは、「大学共通第1次試験」の通称であり、1979年から導入された国公立大学に入学するため、共通の試験問題を用いて実施された学力検査のこと。1990年に「大学入試センター試験」に移行され、国公立大学志望の学生のほか、私立大学を志望する学生にも関りのある共通テストとなっていった。

◆「大学入学共通テスト」で受験勉強は難しくなる? 簡単になる?

 共通1次からセンター試験へと名称を変えて行われているこの試験が、2020年度の試験から再び大きく変わろうとしていることをご存知だろうか?

 2017年文部科学省から発表された「大学入学共通テストの実施方針」によると、2021年1月に行われるテストより、センター試験に代わり「大学入学共通テスト」を実施することが決められている。

 共通1次からセンター試験への改称を知っている世代の方は、「また改称するのか」程度に思われるかもしれないが、今回の共通テストをただの名称変更だと思ったら大間違いだ。

 では、「センター試験」が「大学入学共通テスト」になることで変わる一番の変更ポイントを見ていこう。

◆合否を左右する「記述式問題」が出るように

 2021年1月から実施される「大学入学共通テスト」の最も大きな変更点は、記述式問題の導入だ。

 これまで行われていた共通一次及びセンター試験は、「マークシートを用いた選択式の試験」。どの科目のどんな問題でも、問題文に対して①~④などの与えられた選択肢の中から適当なものを選択することで回答としてきた。

 つまり、分からない問題であってもとりあえず選択肢の中から選んでさえおけば、どんな難問でも正答できる可能性もあったのである。しかし、2020年度から導入される大学共通入学テストではそうはいかなくなる。記述式問題に関しては、「分からない問題は当然正答できない」となるのだ。

 2020年度の導入時点では国語と数学のテストの一部が記述式の問題になることが決まっている。その他の科目においても、順次導入される可能性は非常に高いだろう。

 そして、これから数年の間に変わるのは大学の入学試験だけではない。「2022年度からは、高校教育における社会科の授業の内容も、大きく変化することが決まっているのです」と言うのは、社会講師の伊藤賀一氏だ。

 伊藤氏は東進ハイスクールオンライン予備校スタディサプリ」などで講師を務め“日本一生徒数の多い社会講師”の異名を取る。

◆新科目「歴史総合」の登場で、高校の歴史授業が変わる

 現在の高校社会科では、世界史は必修科目だが日本史と地理はどちらか1科目を選ぶことになっているため、日本史の授業を一度も受けずに高校を卒業するという人も多い。海外では歴史学は必修科目であるという国も多く、自国の歴史を深く学ぶ機会を選ばなくてもいいという現在の日本の高校の授業内容は、世界基準で見れば特殊なケースと言えるだろう。

「そこで文部科学省は、2022年度から高校の歴史の授業に、『歴史総合』という科目を新たに必修科目として導入することを決めました。歴史総合とは、近現代を中心にした日本史日本史A)と近代史を中心とした世界史世界史A)を合わせたもの。

 明治維新を入口とした日本の近現代史をベースに、日本の視点から見た世界を学ぶ科目なのです」(伊藤氏)。

 そんな歴史総合という新科目の登場を前に、伊藤氏は『日本一の社会科講師が教える 読んだら忘れない明治維新』を上梓、明治維新を学ぶことが出発点になるという。

◆正しく歴史を勉強すれば、記述問題は苦手じゃなくなる

 新たに導入される「歴史総合」の科目で最初に取り上げられる明治維新。その明治維新を、なんと「伊藤博文くん(初代総理)」が語るストーリー仕立てにして、イラストと共に解説したのが本書だ。

 伊藤賀一氏は、「歴史は出来事や人物名を覚える暗記科目ではなく、一つひとつの事象が繫がり合ってできたストーリーを読み解いていく科目であり、歴史を自分の言葉で話すことが、記述式問題を解くカギです」と言う。ここで、本文の一部を抜粋すると――。

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「歴史を自分の言葉にして人に伝える」ためには、一つひとつの出来事について読み解くための読解力、その出来事について熟考して出来事のつながりに気づくための判断力や思考力、そして、自分の持っている知識を言語化する表現力、さらには表現するための語彙力や国語力なども必要になります。

 逆にいえば、「歴史を自分の言葉にして人に伝える」ことによって、それらの力を身につけられます。これからの入試では、暗記しただけは答えられない記述式の問題が増加します。その訓練にもなるのです。(本書P8〜9より)

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 つまり、歴史を大きなストーリーとして読み解きそれを人に伝えることで、様々な教科で導入される記述式問題の対策になるというのだ。

◆問題集の中から記述試験の予想問題を解いてみよう

 暗記だけで歴史を学んできた世代は、たとえば、この問題に答えられるだろうか。

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問題:もし「大政奉還」が行われていなければ、何が起き、その結果日本はどうなっていただろう?(本書P181今後の予想問題より)

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 ちなみに以下がこの問題の回答例だ。

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回答例:『薩長を中心とする武力討幕派と幕府を中心とする公武合体派の間で全面戦争が起きて被害が拡大し、イギリスフランスが日本に大きく進出していた。』

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「歴史が好きな子、一生懸命勉強してきた子に共通するのは、社会人になってからも面白い仕事について楽しみながら働いていることです」(伊藤氏)

「もうとっくに受験勉強を終えた自分には関係の無い話だ」と思っている人もいるかもしれない。だが、これからの子供達は暗記だけじゃなく、自分で考えて意見をまとめるスキルを身に付けている。そんな彼らが学校を卒業して自分の部下になっていくと考えると、もう一度明治維新をきっかけにして、近現代の歴史からを見直してみてはどうか。

 また、私たちの子供世代には、記述試験が加わった「大学入学共通テスト」が深く関係してくる。歴史の勉強をしている我が子に向かって、「歴史の勉強なんて暗記なんだから、とにかく覚えなさい」などと時代遅れなアドバイスをするような大人になってはいけない。

「どんなことを勉強しているのか父さんに教えてくれ」と声をかけ、子供に自分の言葉で時系列や事象を絡めて歴史を解説させるよう誘導してあげよう。それこそが、これからの時代の親に求められていることなのだ。勉強の手伝いをしてあげられるようになれば父親の株も上がることだろう。

<取材・文/日刊SPA!取材班>


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