何度訪れても新鮮な魅力に出会える京都。桜色の華やかな春、紅葉が鮮やかな秋も魅力に溢れますが、どこも人でいっぱいで少々落ちつかないもの。
ゆったりと京都を旅したい人にオススメなのが観光客が減るシーズンの冬。情緒あふれる街並みや寺院は静寂に包まれ、心も一層浄化されます。

JRグループや京都市京都市観光協会などが共同で開催している京都デスティネーションキャンペーンでは、普段は拝観することができない障壁画、庭園や仏像などを特別に公開する「京の冬の旅 非公開文化財特別公開」を実施。
第53回となる今年は「京都にみる日本の絵画〜近世から現代〜」がテーマ。15寺院で貴重な文化財を鑑賞することができます。
今回はそのなかの一つ、「建仁寺 正伝永源院」をご紹介しましょう。
織田信長の実弟、織田有楽斎ゆかりのお寺


京都市東山区に佇む、建仁寺の塔頭寺院の一つ「正伝永源院」。鎌倉時代に建立された「正伝院」と南北朝時代に建立された「永源庵」が、明治初期の廃仏毀釈という政策によって統合されたお寺です。



「正伝院」は織田信長の実弟で、茶人として名を馳せた織田有楽斎(おだ・うらくさい)の菩提寺として創建。「永源庵」は鎌倉時代より続く、細川家の菩提寺でありました。79代内閣総理大臣を務めた、かの細川護熙氏のご先祖さまなんですよ。
多くの観光客が行き交う花見小路の近くにありながら、落ち着いた雰囲気が漂います。



境内には有楽斎が建てた国宝の茶室「如庵(じょあん)」が復元。「有楽囲」「有楽窓」といった設えの鑑賞も可能。有楽斎はNHK大河ドラマ「真田丸」にも登場。関ヶ原の戦いでは徳川軍に味方するなど、物語終盤のキーパーソンでした。
ちなみにこの有楽斎が関ヶ原の合戦の後、東京の数寄屋橋周辺に屋敷を構えたことが、現在の「有楽町」という名前の由来なのだそう(諸説有り)。
人生観が込められた、華やかな襖絵


方丈では、狩野山楽(かのう・さんらく)筆の「蓮鷺(れんろ)図」が特別公開。狩野山楽は、天才と謳われた絵師・狩野永徳の弟子でもあり、力強い画風を継承。16面から成る金碧の障壁画は圧巻の一言!



「蓮」と「鷺」が描かれた蓮鷺図。蓮のつぼみから満開、そして枯れ葉に至るまでの過程が描かれており、人生の栄枯盛衰を表現しているのだそう。
元首相・細川護煕氏が描いた障壁画も公開!


細川家とゆかりある正伝永源院。2013年春には元内閣総理大臣細川護煕氏が描いた障壁画が奉納。細川氏は60才で政界を引退後、陶芸や絵画などの芸術の道へ。国内外で数多くの個展を開催するなど、精力的に創作活動に励んでおられます。



東山の夜桜を描いた襖絵「知音」。凛とした静寂と桜のほんのりとした色香が漂っています。元首相というキャリアを持つ異色アーティスト、細川氏。今後の活躍にも目が離せません。

3月1日3月18日には狩野山楽筆「鍾馗図」も特別公開。ぜひこの機会に貴重な寺宝を鑑賞して、京都の秘められた美を楽しんでみてはいかがでしょうか?

※記事中の写真は取材により特別に撮影しています。通常は写真撮影禁止となっておりますので、ご注意ください。

建仁寺 正伝永源院
住所605-0811 京都府京都市東山区 大和大路通四条下る四丁目 小松町586
電話番号:075-213-1717(京都市観光協会)
アクセス:京阪電車祇園四条駅」から徒歩5分
特別公開期間:3月1日3月18日 10:00〜16:30(16:00受付終了)

京都デスティネーションキャンペーン「京の冬の旅」
https://ja.kyoto.travel


 
『【特集】心が浄化される、冬の京都へ』では、このほかにも冬の京都の魅力をたっぷりお伝えしています。あわせてぜひ。