0_e0

image credit:youtube

 アメリカ政府は50万個ものスペースデブリ、つまりは宇宙のゴミを監視している。それらのうち2万個はソフトボールよりも大きな物体だ。 

 こうしたスペースデブリは、使われなくなった人工衛星やその打ち上げに使われたロケット本体、あるいはそれらの部品などだ。弾丸よりも高速で移動しており、直径10センチもあれば宇宙船を破壊できるほど危険な代物だ。

 イングランドサリー大学の研究者が開発したのは、こうした宇宙のゴミ問題に対処するために使われる特殊な銛(もり)である。

 動画で紹介されているのは、RemoveDEBRIS衛星が行なった実験で、1.5メートルのポールの先に取り付けたソーラーパネルめがけて銛が発射されたシーンだ。

―あわせて読みたい―

現在も地球の軌道を周回する危険な8の物体
砂粒大でも大やけど。宇宙ゴミ(デブリ)がもたらす大災害
ロシアが開発中のスペースデブリを破壊するレーザー砲。運用中の人工衛星まで破壊可能としてアメリカ政府が懸念を示す
地球の上空を回っている人工衛星をリアルタイムで表示してくれる「Google Earth」を早回しで見ると・・・
我々の頭上には今何がある?スペースデブリ、衛星などの軌道をリアルタイムで見ることができるインタラクティブサイト

 動画では銛がターゲットを貫いた瞬間をばっちり確認できる。


Harpoon successfully captures space debris (Slow motion)

 今回の実験はここまでであるが、最終的には帆を膨らませて、デブリを貫いた銛ごと地球大気圏に突入させる。こうして、銛もろともデブリを燃やし尽くしてしまおうというのだ。

 この最終実験も3月に予定されている。

増加する人工衛星とスペースデブリ問題

 スペースデブリのリスクは、打ち上げられる人工衛星の数が増加するにつれてますます高まっている。

 たとえばイーロン・マスク氏のスペースX社は、数千ものスターリンク衛星の打ち上げ許可を政府に申請している。

 それらを実際に開発し、打ち上げるために必要な膨大な資金を集めることができさえすれば、おそらく2020年代半ばまでには実行されるだろう。

 結果、軌道を飛行する人工衛星の数は2、3倍に膨れ上がることになる。

・地球が見えない・・・1957年から現在まで58年間の地球を覆う宇宙ゴミの変化を可視化したタイムラプス動画 : カラパイア


The amount of space junk around Earth has hit a critical point

 NASAで軌道に漂うデブリの調査を行なっていたケスラー氏は、こうした状況について「未曾有の事態」と話す。

 このまま数が増えていけば、スペースデブリの1度の衝突が連鎖的な衝突を引き起こし、宇宙開発が不可能になってしまう危険性すらあるのだ。

 こうしたシナリオはただの絵空事ではない。

 2009年、ロシアの廃棄された人工衛星コスモス2251」が現役の通信衛星に時速42000キロで衝突した。この事故のせいで、新たに20万個のものデブリが誕生したと推定されている。

 さらに2007年には、中国が老朽化した気象衛星をターゲットにミサイルを発射し、その破片が地球軌道に撒き散らされた。 

References:Watch a space harpoon impale a chunk of space debris/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52271340.html
 

こちらもオススメ!

―動画の紹介記事―

とにかくジャンプが大好きな犬。動物病院の受付でもジャンプしちゃった姿が話題に(アメリカ)
邪悪な悪霊から守るため、数百もの魔除けが描かれた洞窟が発見される(イギリス)
練習中のインコを撮影に成功。スクーターに乗るインコの懸命な姿にきゅん
外出しようとすると毎回、鉄壁の防御で家の鍵を守ろうとする猫
マイティ・ソーに憧れたコスプレイヤー。青く発光する瞳をついに実現!その創意工夫がすごい。

―自然・廃墟・宇宙についての記事―

大気汚染に悩むタイで、砂糖水を空中に散布する試みが始まる。その効果は?
米ソ冷戦時代、アメリカ空軍はロケットで地球の自転を止めようとする計画を提案していた
マングローブの木から着想を得た水質汚染を軽減する海洋保全タイル。自動車メーカーのボルボが開発。
自然が魔法を使ってきたぞ?リンゴの木の枝になっていたのは、氷でできたリンゴそっくりの実!!(アメリカ)
【RIP】さようなら!安らかに眠れ。火星探査機「オポチュニティ」がついに活動停止。哀悼を捧げるNASA研究者たち
スペースデブリ(宇宙ゴミ)を銛(もり)で串刺しにし、大気圏に突入させて銛ごと燃やし尽くすという作戦