開幕戦に30分以上出場した新加入選手を対象にパフォーマンスを評価

 J1リーグの開幕戦が22日・23日に各地で行われた。今回は開幕戦に30分以上出場した新加入選手を対象にパフォーマンスを評価し、「ベスト5」と「ワースト5」をランキングした。前提として、新加入選手でありながらシーズン開幕戦のピッチに立つ意味は大きく、キャンプやトレーニングで監督の評価と信頼を得た証拠と言える。その意味では、ランキングの対象になっている時点で、開幕戦までの準備段階は一種の成功と言えることを付言しておきたい。

 まずは「新加入ベスト5」から触れていく。ベスト5から惜しくも落選したが、大分トリニータのタイ代表MFティティパン、名古屋グランパスMF米本拓司、中盤で攻守に豊富な運動量を見せたセレッソ大阪MF奥埜博亮、ヴィッセル神戸MF山口蛍らは新天地初戦としては上々のパフォーマンスを披露した。

 また横浜FMはFWエジガル・ジュニオ、FWマルコス・ジュニオール、MF広瀬陸斗、DF高野遼の4人がスタメンを飾り、さらにFW李忠成も途中出場で勝利に貢献するなど、開幕戦で新戦力が最も当たったチームと言える。

 そのなかで「新加入ベスト5」に食い込んだのは以下のとおりだ。

2019年J1開幕戦「新加入ベスト5」ランキング

【新加入ベスト5】
■5位 小塚和季(大分トリニータ/MF)
昨季J2で見せたプレーをJ1のアジア王者・鹿島アントラーズに対してほぼ遜色なく発揮しており、プレー強度に関しても十分にやれそうだ。

■4位 ジョアン・シミッチ(名古屋グランパス/MF)
視野の広さと判断スピードで早くも優良海外助っ人の風格を醸し出している。先制点と2点目にキーパスで絡み、3点目をアシスト。守備面のバランスワークも問題なく、新加入の米本とともに名古屋躍進のカギを握る存在となりそうだ。

■3位 武富孝介(湘南ベルマーレ/MF)
古巣への復帰だが、水を得た魚のように湘南スタイルにフィットし、終盤にチームを救う2得点。躍動的な武富が帰ってきた。

■2位 エミル・サロモンソン(サンフレッチェ広島/DF)
クリアボールを直接ボレーで叩き込んだ同点弾に加えて、アップダウンやデュエルの強さを発揮。3度のリーグ優勝など一時代を築いたミキッチにも匹敵し得る存在感で、広島の新たな推進力として期待が高まる。

■1位 三好康児(横浜F・マリノス
圧巻のミドルシュートで衝撃的なデビュー戦を飾っただけでなく、起点のボール捌き、動き出しなど、横浜FMの攻撃を活性化する原動力になった。これまで時折見せていた局面の軽さもかなり解消している。このパフォーマンスを続けて上位躍進に貢献できれば、東京五輪を待たずしてA代表入りという目標も現実味を帯びてくる。

2019年J1開幕戦「新加入ワースト5」ランキング

 続いて「新戦力ワースト5」を見ていく。このリストに入れるほどの低パフォーマンスではなかったが、神戸の元スペイン代表FWダビド・ビジャも物足りなさが残った1人だ。個の突破力で能力の高さを証明し、サイドに張ったところから機を見て中央に顔を出すも、ゴール前で良さを発揮しきれず。フィニッシャーとしての真価は次節に持ち越された。

「新戦力ワースト5」は以下のとおりだ。

【新加入ワースト5
■5位 レアンロドロ・ダミアン川崎フロンターレ/FW)
富士ゼロックススーパーカップで大きなインパクトを残して開幕戦を迎えた。何度か起点になるプレーもあったが、FC東京の徹底した堅守速攻に良さを吸収された形だ。引かれた相手に対して、周囲がシンプルにダミアンを使うというプランも十分に機能しなかった。

■4位 キム・ヨングォン(ガンバ大阪/DF)
対人の守備で負けていたわけではないが、相棒の日本代表DF三浦弦太など周囲のミスに引っ張られて後手を踏んだ。また左足の技術は高いが、プッシュアップで縦に間延びしないオーガナイズなどをもっと期待したい。

■3位 アンデルソン・ロペス北海道コンサドーレ札幌/FW)
機動力の高い湘南のディフェンスに対して消えてしまう時間帯も多かった。ボールを持って鋭い仕掛けを見せたシーンで最後の精度を欠いた部分も物足りなさが残る。

■2位 ニノ・ガロヴィッチ(鳥栖/DF)
1対1でハイレベルなポテンシャルを見せたが、不慣れな3バックでサイドからのサポートもなく、前からの守備もハマらないなかで脅かされるシーンが目立った。

■1位 杉本健勇(浦和レッズ/FW)
深い位置でボールを収めることができず、FW興梠慎三とのコンビネーションも中途半端で孤軍奮闘させてしまうシーンも。富士ゼロックス杯に続いて攻撃のブレーキになってしまった。(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

(左から)ダミアン、サロモンソン、三好康児、杉本健勇【写真:Getty Images & Noriko NAGANO】