デビューから約1カ月で8戦消化 「やべえな、こいつという衝撃はなくなってきた」

 フランス1部トゥールーズにDF昌子源が加入して約2カ月が経過した。現地時間1月19日リーグ・アン第21節のニーム戦(1-0)でフランスの地に立ってからは、リーグ戦6試合、フランスカップ戦2試合でフル出場。約1カ月間での8試合は、昌子にとって“濃い経験”だったことだろう。

「いろいろなものが見えるようになって、感覚をつかんできました。すごくやりやすくはなっています。それは対アフリカ系の選手たちに対しても同じで、『やべえな、こいつら』という衝撃はなくなってきました」

 昌子は現地時間24日の第26節カーン戦(1-1)後、そう手ごたえを語った。アラン・カサノバ監督も、「これまでの彼の出来には、とても満足している」と1カ月間の成果を評価する。

「まだ彼の持てる才能を100%出せているわけではない。チームに順応することや、我々のゲームを把握すること、食生活などフランスでの生活習慣……、さまざまなことに対応するために力を割かなければいけない状態にあるからだ。しかし、今の段階で彼の取り組み具合には非常に満足しているし、彼はとても素晴らしいセンターバックだよ」

トゥールーズ・サポーターの人気は上々「ウチは守備が弱いから昌子は絶対必要な選手」

 カーン戦でも昌子が対面したのは、スピードを武器とするアフリカ系選手だった。カサノバ監督は、「彼にフランスリーグの一番の印象を尋ねたら、おそらく、その点(アフリカ系の選手)を象徴的な部分に挙げるだろうね」と語る。

「どのクラブも非常に運動能力の高い選手を備えていて、ディフェンダーに強烈なプレッシャーをかけてくる。彼がこれまで経験してきた、アジアでのサッカーとの違いを一番感じる部分だろう。でも、彼自身がその点に順応していこうと励んでいて、その成果には非常に手応えを感じている」

 ディフェンダーは言うまでもなく連携が重要だが、昌子の物怖じしない性格も奏功しているようだ。試合中は身振り手振りを交えて指示を送っている。スタジアムに駆け付けたトゥールーズ・サポーターの目にも、「初戦から周りに指示を出していて、すごく頼もしいと思った」と映ったという。

日本人選手は、香川(真司/ベジクタシュ)や乾(貴士/アラベス)も有名だし、マルセイユでは酒井(宏樹)が活躍している。だから昌子を獲ると聞いた時も、“嬉しいサプライズ”という感じだった。実際に試合を見ると、すごく楽しそうに笑顔でプレーしていて、すっかり気に入ったよ。ウチはディフェンスが弱いから、昌子は絶対に必要な選手だ」

 すでにトゥールーズ・サポーターからの人気も上々だ。

仏記者は「屈強な選手との競り合いでは超えなくてはならないハードルがある」と指摘

 フランス紙「20minutes」でトゥールーズ担当を務めるニコラ・スティバル記者は、「出だしはものすごく良かったが、ここ最近の数試合では課題があぶり出されてきた感じもある。屈強な選手との競り合いではまだ超えなくてはならないハードルがあるだろうね。でも、逆にそこを超えた時、昌子は一層強い選手になれる」と期待を込める。

 カサノバ監督は、頻繁に戦術を変える傾向がある。スティバル記者は、「あとは言葉の問題。プレーの途中に戦術を変えようとしたが、昌子にはあまりに指示が複雑すぎると判断して、ハーフタイムまで待った試合もあったからね」と課題を挙げた。言語面でのサポートは、昌子の入団に合わせてトゥールーズFCのテクニカルスタッフに加わった、リヨンPSGの女子チームも歴任しているフィジカルコーチの太田徹氏が担当している。

 昌子自身も3バックや4バック、その中でも右、左、真ん中、さらには相方も毎回変わるというカサノバ監督の戦術チェンジには最初は難しさがあったと話しているが、徐々にシステムも4バック、相方も定着してきた。

 今はまだ、鹿島で見せていたような最終ラインからパスを振り分けてビルドアップの起点となるようなプレーは求められていないというが、「練習からそういうところは見せていっているので、『隙があればサイドチェンジも出していいよ』と言われます。そういうのを自分でも出していきたいと思う」と昌子は貪欲だ。そして、セットプレーでのゴールチャンスも密かに狙っている。

「こっちでは小さいほうですけど、『コイツちっちゃいから来ねえな』と思わせてる時にそろそろ行ってやりたいと思ってるんで!」

 昌子のリーグ・アンゴールは、そう遠くないかもしれない。(小川由紀子/Yukiko Ogawa)

トゥールーズに所属するDF昌子源【写真:Getty Images】