第42回日本アカデミー賞授賞式が1日、都内で行われ、最優秀脚本賞および最優秀監督賞を『万引き家族』の是枝裕和監督が受賞。共に2年連続となり、自身が発表し、受賞するという結果になった。

【写真】自ら受賞を発表した是枝裕和監督

 脚本賞を受賞した是枝監督は「いまの僕の映画のスタイルは、脚本が完成してから撮影にはいるんじゃないんですよね」とつぶやくと「現場で役者さんと一緒に作っていく。それがとても楽しんです」と笑顔を見せる。特に本作は、故・樹木希林さんにはプロットの段階から、内容を読んでもらったという。

 是枝監督は樹木さんから「あなたが肉体を撮ろうとしているのがわかったので、入れ歯を外して、髪を伸ばして参加するわ」と言われたことを明かすと「それだけではなく、僕が書いていないセリフを現場で口にされたりしたのを、脚本に入れることがあった。その意味では、今回僕の名前での受賞ですが、希林さんと一緒にもらった賞だと思います」と感謝を述べた。

 続けて最優秀監督賞を受賞した是枝監督は、小学校で講演したというと、子どもたちから「映画監督って何をする仕事ですか?」と問われ、照明や撮影、美術など技術を持っている人と比べると、監督という仕事は曖昧で、説明することの難しさを感じたという。だからこそ「スタッフやキャストが評価されて初めて、ここに立てる存在。いい監督とはどんなものだろうと自分に問いかけることが続いていくと思う」と述べた。

 また日本映画界への提言を求められた是枝監督は「うーん」と悩みつつも、スタッフ部門に衣装賞がないことを挙げると「ぜひ作っていただけたら」と控えめに語っていた。

<日本アカデミー賞優秀監督賞一覧(★は最優秀賞受賞者)>
是枝裕和万引き家族
上田慎一郎『カメラを止めるな!
白石和彌『孤狼の血』
滝田洋二郎『北の桜守』
本木克英『空飛ぶタイヤ

<日本アカデミー賞優秀脚本賞一覧(★は最優秀賞受賞者)>
是枝裕和万引き家族
池上純哉『孤狼の血』
上田慎一郎『カメラを止めるな!
那須真知子『北の桜守』
林民夫『空飛ぶタイヤ

最優秀監督賞を受賞した是枝裕和 クランクイン!