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北海道土産の代表格の一つ「マルセイバターサンド」は、創業以来85年、北海道帯広市に本社を構える六花亭のロングセラーです。しかし、この六花亭お土産用のお菓子メーカーではありません。180種類もの商品を揃え、全種類一つずつでも購入可能な、北海道の人にとって身近な「おやつ屋さん」なのです。「テレビ東京『カンブリア宮殿』(mine)」は、放送内容を読むだけで分かるようにテキスト化して配信。従業員と地元の人が誇りにしてくれる企業でありたいという六花亭が、企業永続のためにとる数々の独自戦略に迫りました。

バターサンドだけじゃない!~地元客を魅了する絶品菓子

東京・豊島区の「東武百貨店」池袋本店で開かれている北海道の物産展。会場の中に、曲がりながら続く長い行列を発見した。並んででも買いたかったのは北海道土産の大定番「マルセイバターサンド(10個入り1300円)。クリームの中にレーズンとホワイトチョコが入った一味違うバターサンドだ。その隣で飛ぶように売れていくもう一つの人気商品が、完熟イチゴフリーズドライし、チョコレートでくるんだ「ストロベリーチョコ(ホワイト)」(630円)。いずれも作ったのは北海道ナンバーワン菓子メーカー、六花亭だ。

札幌市中央区六花亭の札幌本店は、四季折々の草花がほっとさせる庭がついた、10階建ての自社ビルの中にある。六花亭といえば「お土産」というイメージが強いが、実は北海道ではまったく違う。「マルセイバターサンド」も売れているが、他にも商品がいっぱいある。ココア風味のビスケット「雪やこんこ」(8枚入り810円)、「六花の森ヨーグルト」(200円)、秋限定の栗を使った「栗きんとん」(185円)……。その数、180種類。いろいろなお菓子を取りそろえているのだ。

全種類、一つずつでも買えるバラ売りで、価格もお手頃。「マルセイバターサンド」は1個125円だ。ショーケースには季節の素材を使ったケーキも並ぶが、ほとんどが200円台という安さ。手頃でいろいろあるから、お客は安心して買っていける。北海道の人たちにとって六花亭は、身近な「おやつ屋さん」という存在なのだ。

帯広本店でスタッフ一人一人に声をかけて回るのは六花亭・亭主、小田豊(71)。1300人いる従業員の、ほとんどの顔と名前を覚えていると言う。六花亭本社は北海道帯広市にある。お昼時の社員食堂は工場用の白衣を着た従業員で大にぎわい。その一角に並んでいたのは六花亭のお菓子。ケーキまであって食べ放題になっている。売れ残って賞味期限の近づいた物を集め、従業員のおやつに出しているのだ。

そこに小田もやって来た。しかし、食べるでもなく、なにやらチェックしているようだ。ようやく一つを手に取ると、割った断面をまじまじと見ている。小田はスタッフを呼ぶと、そのお菓子を食べさせ、「焼きすぎだろう」と、店舗で見せた顔とは一変して、厳しく指導する。お菓子の味は「これでいいのか?」と絶えず自問自答し続けているのだ。

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