オリヴェイラ監督が札幌戦に言及 「通常なら素早くコンパクトにできているが…」

 浦和レッズオズワルド・オリヴェイラ監督は、リーグ戦のホーム開幕戦となった2日の第2節北海道コンサドーレ札幌戦で0-2と敗れ、敗北を受け入れながらも事前のゲームプランを遂行できなかった点に静かな怒りを覗かせた。

 浦和は札幌に対して前線からプレスをかける戦術を選択したものの機能不全に陥った。2トップのFW杉本健勇とFW興梠慎三が追った間を通されるパスや、寄せた頭を越されて前線から中盤が後ろ向きに追いかける展開が頻発。オリヴェイラ監督は「相手がつなぐことは想定して準備をしてきた」と明かしながらも、それが機能しなかったと口にした。

「我々は通常なら素早くコンパクトにできているが、それができなかった。相手の2トップが最終ラインを押し込んでから引いて、最終ラインと中盤の間を広げて使われた。組織的なプレスをかけられなかった場面もあった。個人として行くべきところに行かない選手もいた。前線から良い守備をするためには、フィルターを掛けて制限しなくてはいけない。全体がコンパクトにならず、前線の選手がやるべきことを実行できていなかった」

 指揮官は「相手の2トップも良かった」としたものの、機能不全には個々の戦術的なミスが積み重なったことを指摘。前半を終えた後、杉本をオーストラリア代表FWアンドリュー・ナバウトに入れ替えた采配からも、その機能性の低さが窺える。さらに後半15分という早い段階でMF長澤和輝に代えてMF柴戸海を投入し、アンカーからMFエヴェルトンを一列前に出した。段階的に手を打った後半のシュート数は12本と、前半の2本より大きく改善されたものの、公式戦3試合連続で無得点という事実が残った。

 前戦からの守備の機能不全は、札幌を率いたペトロヴィッチ監督に「私の教え子の武藤もいるが、彼の不在が響いたのではないか」と、昨季終盤の負傷から出遅れているFW武藤雄樹の不在を指摘されるほどだった。

「武藤と青木に関する発言を繰り返せば言い訳と受け取られる」と当初は発言自制も…

 そのことについて問われたオリヴェイラ監督は、「武藤と青木(拓矢)に関する発言を繰り返せば言い訳と受け取られる。言わないでおこうと思った」と、質問を受けなければ話さないつもりだったことを明かしたが、「昨年からの継続性を考えれば、2人の不在は影響している。新加入の選手たちは昨季の継続性のなかで段階的に入るほうがフィットしやすいだろう」と、両者の不在に対する影響を再び認めざるを得なかった。

 アウェーチームからスタートする監督会見でペトロヴィッチ監督が大演説をしたため、普段よりも試合が終わってからオリヴェイラ監督の会見が始まるまでには時間があった。その間に感情的な部分を少し落ち着かせられたのかもしれないが、静かな語り口の中にはゲームプランを実行できなかったチームに対する静かな怒りが滲んだ。

 これで浦和は16日の富士ゼロックススーパーカップ川崎フロンターレに0-1、リーグ開幕戦ベガルタ仙台戦を0-0、そして札幌戦に0-2と、3試合連続無得点で未勝利のまま6日にはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の初戦ブリーラム戦に臨む。

 ホームでの勝利がことさら必要になるアジアの舞台で、初戦に迎えるタイの強豪を相手にするまで中3日。オリヴェイラ監督はチームをどこまで立て直し、試合に臨むことができるだろうか。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

浦和を率いるオリヴェイラ監督【写真:Noriko NAGANO】