えなこ、乾曜子に続く“アイドル×アニメ”インタビューは、“名峰・吉田山”の愛称で呼ばれるHカップのグラビアアイドル・吉田早希が登場。

【写真を見る】Hカップのグラビアアイドル“名峰・吉田山”こと吉田早希。実は不遇なアニオタでもあった

吉田のプロデュースは今、えなこと同じく乾曜子が務めている。数々のゲーム番組、イベントに出演し、コスプレの披露とガチゲーマーぶりを発揮している吉田は、アニメの方も立派なオタ道を進んできた。

事務所に「お前に何ができる」と言われた不遇時代を振り返りながら、今期推しアニメなどを聞いた。

■ 「トップをねらえ!」でアニメオタクへの道へ

――ゲーム方面での活躍は多いですが、アニメに関してはあまりアピールをされていませんね?

サブカルチャーが好きなんですが、アニメはゲーム、漫画と比べて自分の知識量が足りてないという自覚があって、話す機会は少ないですね。今日、どれだけ語れるかちょっと不安です。

――アニメに対してはどういう環境で育ちましたか? 

兄2人がいるんですが、どっちもオタクでした(笑)。長男が10歳違いで、次男が8歳違い。だから、私が小さい頃からアニメ誌や声優雑誌が普通に家に置いてあって、テレビでは毎日当たり前のようにアニメが流れてました。

――英才教育じゃないですか。

今考えると、ですね(笑)。そのおかげで90年代風の塗りには「萌え!」ってなるし、無駄に大きなイヤリングを見ると血がたぎる。鼻の上のあたりにハイライトがあるキャラは良いですね。でも、子供の頃は兄が見ているから見る、みたいな感じで、自発的に見るようになったのはわりと遅いんですよ。

17歳の時に「トップをねらえ!」(OVA、1998年)を見つけて、アニメに前のめりになったのもそれからです。作品のことをもっと知りたいという欲求に駆られ、DAICON FILM(ダイコンフィルム)について学んだり、岡田斗司夫さんの「遺言」という著書を読んだり。女子大であった岡田さんの特別講義にも参加してました。

「遺言」にはアニメをどうやって作るのか、「トップをねらえ!」がどうやって出来上がったのかなどの裏話が事細かに書いてあって、すごく面白い内容なんですよ。他には宇野常寛さん、東浩紀さんの著者とか。「思想地図β」も面白い本ですね。ぜひ読んでもらいたいです。

――一般的に連想されるアニオタとは違う流れを通ってきてますね。

そうなんですよ。だから、自分のアニメ好きを他の人と共有できないというのがありましたね。流行りの作品を履修できていないので、自分の言葉には説得力が足りないと思ってます。

――アンケートでお答えいただいた「好きな作品:『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(OVA、1987年)、GAINAX系」というのは、「トップをねらえ!」が入口だからですか?

それもありますが、私、落ち着いて見るのが苦手で、話数たくさんのものを連続して見ていると何だかソワソワしてきちゃうんですよ。でも「トップをねらえ!」は6話完結で、その中にエンタメが詰まっているから飽きることなく見られたんですよね。それまで見ていたテレビアニメも好きでしたけど、好きの感覚が全然違っていて、「トップをねらえ!」と出会えなかったら、今、ここまでアニメは見ていなかったと思います。

――90年代時のOVAは制作資金と制作時間が確保され、手描きで質の良い作品を送り出していました。

作画はダンチですね。「オネアミス」は本当にすごい作品だと思いました。ロケット打ち上げのシーンがすごく繊細に、噴射の時、張り付いていた氷が割れていく様が細かく描かれていて。「オネアミス」には庵野秀明さんも参加されていたんですよね。

それと、「オネアミス」は見る年齢によって感じることが違う作品ですね。18歳の時に見た感想と、21歳の時に見た感想だと、理解を含めて全然違ってくるんです。その時の自分の状況、社会事情にも感想って左右されるじゃないですか。「この時の私はこう見るんだ」という、そういう自分を観察するのも楽しいです。

■ 考える学問研究的アニメオタク

――今期の作品では、「ブギーポップは笑わない」「revisions リヴィジョンズ」が推しアニメということで。

ブギーポップ」は兄がラノベ厨でもあったので、原作から好きだったんです。20年前の小説で、これも年齢によって感じ方が変わる作品ですね。初めて読んだのは確か小学生の頃でしたから。

――小学生が読むにしては重い小説ですね。

哲学的ですね。そういうのが好きみたいで、難しいと思いながら一生懸命読んでいたんですが、今のアニメ化を見てやっと分かってきた部分もたくさんあります。ブギーポップ役の悠木碧さんの演技は素敵ですね。あまり抑揚のない喋りなんですが、見せ場になるとその抑揚のなさが逆にすごく良いんですよね。ブギーポップが今どんな思考をしているのかとか、どんどん深くに引っ張られていくような感じです。

――お話を伺っていると、アニメを学問のように捉えていますね。

性格なんだと思います。見て「面白い」じゃなくて、「どうして面白い」のかを考えてしまうんですよ。「リヴィジョンズ」はNetflixに入っているので一気見できる環境にあるんですが、考察を楽しむために、ぐっと見るのを我慢してますし。放送のリアルタイムで見たいというこだわりがあって。

――Netflixの利点が(笑)。何ですかそのこだわりは?

はてなブログを読むのが好きなんですよ。そこでテレビシリーズで楽しんでいるみんなと同じ時間を共有しながら、考察を進めていくのが楽しいんです。たまに一気見してネタバレを書いている方もいるから気を付けないといけませんが(笑)。

■ オタク知識を蓄えた不遇の10年間

――アニメ好きが市民権を得て、若い世代はナチュラルに仕事に繋げられている印象があります。吉田さんの世代からそういう状況はどう見えますか?

よきゅーん(乾曜子)ちゃんも話されていましたが、しょこたん(中川翔子)が注目されるまで、アニメ好き、特に女子のアニメ好きって白い目で見られることが多かったと思うんです。事務所にも、アニメや漫画、ゲームが好きだからそっち系のお仕事をしたいですと言っても、「お前に何ができるんだ」みたいなことを言われ続けて。ずっと仕事にならない年月を10年くらい過ごしていて、「何だよ…」って思ってました。

しょこたんのおかげでだいぶ変わりましたけど、そもそもそういうお仕事が今みたいに多くあるわけでもなかったんですよね。だから、自分は仕事にできるほど本当にアニメやゲームが好きなのか、自問自答しながら知識を蓄え続けるという10年だったので、今のアイドルたちは羨ましいなって思います。

アニメが好きということがマイナスではなく、むしろ「俺たちと同じ」っていう好感度に繋がっているじゃないですか。

――先輩として、アニメ好きのこれからの人たちに伝えていただけることはありますか?

アニメが好きな気持ちは私ももちろん同じですごく分かるのですが、先輩として自分の後悔を踏まえて言いたいことは「たくさんのことを勉強してほしい」と言うことですかね。机に向かう勉強だけじゃなく、何でも。「(何か)を知る機会」というのに貪欲になってほしい。それが絶対、後からアニメを見ることにも役立つと思います!

アニメを見るだけじゃなく、人生の中でも、手に入れた知識が何かの役に立つこともたくさんあります。

20代前半の頃はとにかくアニメ知識やゲーム知識が欲しくて学んできたし、それ以外の知識はいらない、とすら思っていたんです。でも20代後半の頃に、アニメやゲーム以外の知識を持っていた方がもっと作品を楽しめるんじゃないか、という初歩的なことに気が付いて(笑)。

例えば、バスケアニメを見るときにバスケをやってた方が断然面白く見れますよね。私はそう言う色んな経験を本当にしてきていないので、後悔しています。エンタメはもちろん色んな遊びも。

今、能や歌舞伎や落語など伝統芸能なども見にいって吸収しようと頑張ってます。

なので、今の若い子たちの中で昔の私みたいな人がいたら少しだけで良いから、色んなことに興味を持つと後悔しないよ、というアドバイスを送りたいですね。(ザテレビジョン・取材・文:鈴木康道)

ガチゲーマーと知られる吉田早希。アニオタの入口として出てきたのは、ガイナックスの名作OVA「トップをねらえ!」だった