公式戦3試合未勝利の浦和について「むしろ我々にとって危険な瞬間だと思っている」

 J1浦和レッズAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループリーグ初戦(6日)で対戦するブリーラム・ユナイテッド(タイ)のボジダル・バンドビッチ監督が5日に試合前日記者会見に臨み、浦和についてFW興梠慎三を要警戒の選手としながら「前線からプレスをかけ、戦術的に上手く戦いたい」と試合を展望した。

 ブリーラムはここ6年間でタイのリーグを5回優勝し、昨季のACLではセレッソ大阪などと同組を突破してベスト16に入った。2013年には8強進出の経験も持つ、タイの名門クラブだと言えるチームだ。バンドビッチ監督は「ご存知の通り、簡単な試合はない。相手は良い選手の揃った規律の取れたチーム。小さなことが勝敗を分ける。選手たちには頭のスピードを上げて判断良くプレーしてほしい」と語った。

 浦和も大会7回目の出場と経験は豊富だが、ブリーラムとの直接対決は初めて。浦和は今季公式戦で3試合連続未勝利のなか、浦和への警戒ポイントを問われたバンドビッチ監督は興梠の名前を挙げつつ、浦和が勝利していない状況を危険なものと捉えているようだ。

「最初に言いたいのはチーム全体が素晴らしいということ。興梠は危険な選手だ。前線からプレスをかけ、戦術的に上手く戦いたい。そうした準備をすることが必要だ。監督としては1人の選手というよりもチーム全体として捉える。最も重要なのは浦和がとても良いチームであるということ。3試合勝利がない状態であるにせよ、むしろそれは我々にとって危険な瞬間だと思っている」

「我々が突破すれば、メディアにはサプライズと書かれるかもしれないが…」

 ブリーラムにとって浦和の不調は、むしろ気を抜くような状況でないという点で楽観視できないことだと感じているようだ。このG組は浦和と全北現代(韓国)にACL優勝経験があり、北京国安(中国)も決勝トーナメントへの進出経験もある。東地区の中でも厳しい組分けとも言われ、日本勢や韓国勢が本命視されるなかでの戦いを見据えている。

「とてもタフなグループだ。Jリーグ、韓国のリーグは質が高いと考える人もいるだろう。選手たちには常に、恐れることなく自信を持って勝つために全てを尽くすことを伝えている。どんなチームを相手にしても良い試合ができる準備ができている。我々が突破すれば、メディアにはサプライズと書かれるかもしれないが、全ては実現が可能だ。昨年のようなものを示せると思う。昨年の16強進出は我々にとって大きな経験であり、若い選手たちもACLを経験することができた。1試合ずつ戦っていき、今年も実現できると思っている」

 また、会見に出席したタイ代表GKシワラック・テースンヌーンは「タイを代表してここに来ている。タイからは1チームのみだ。最善を尽くして勝利を持ち帰りたい。目標は勝ち点を持って帰ること。勝てるかどうかは分からないが、最善を尽くしたい」と話した。今年のアジアカップでも3試合ゴールを守っている守護神を打ち破ることも浦和には求められる。

浦和に所属経験のある細貝は試合の登録メンバー外に 「不運にも腹部の手術をした」

 一方、浦和に所属経験がある元日本代表MF細貝萌は試合の登録メンバー外となった。バンドビッチ監督は「細貝選手は不運にも腹部の手術をした。とても良い選手で仕事をできるのは嬉しいが、現時点では別メニューでトレーニングしている。2週間ほどで全体練習に合流できると思うが、彼にとっても最も重要な時間を過ごしている。とても才能のある選手で楽しみだが、2、3週間のうちに合流できることを楽しみにしている」と期待を込めながら語っている。

 ギリシャの名門オリンピアコスでも指揮を執った経験を持つバンドビッチ監督は、浦和に対して戦術的な準備を進めながら、選手たちにも精神的な強さを植え付けようとしている。ホームで迎える開幕戦の勝利が求められる浦和にとって、簡単な相手ではないのは間違いないだろう。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

浦和戦の前日記者会見に臨んだバンドビッチ監督【写真:轡田哲朗】