キングペンギンのくちばしのオレンジの部分:Credit 旭山動物園
Point
■旭山動物園のとある衝撃的なツイートが話題に
ペンギンのくちばしにあるオレンジの部分は年1回剥がれる
■中の人に取材してみた

3月5日、旭山動物園があるツイートを投稿しました。同園のキングペンギンについてのツイートなのですが、多くの人が衝撃を受ける事態に。

なんと、くちばしの一部が取れてしまったのです。

まさかそこが取れるとは…。もしかして何か異常な症状なのでは、と不安に思う人もいるでしょう。

しかしご安心を。ペンギンのくちばしの一部が剥がれるのは、1年に1回訪れる正常な現象のようです。

しかし意外なものが剥がれる衝撃からか、このツイートがTwitter上で3万リツイートを超える事態となりました。

「グッズとして欲しい」「魚の切り身みたい」、または「カラスミみたい」「カニの脚の殻みたい」など、何かしらの食べ物に例えられた反応が多く寄せられていました。

筆者には柿の種にしか見えなかったんですけど、皆さんは何に見えましたか?

そもそもコレはいったい何なのか

キングペンギンのくちばしのオレンジの部分は下嘴板(かしばん)と呼ばれ、下の嘴(くちばし)の板と書きます。この板は小さい膜のようなもので、冬から春にかけて1回自然に剥がれるようです。

ハッシュタグの #キングペンギンの下嘴板 も、タッパーにズラッと並んでいる下嘴板も、なんだかじわじわと来る面白さ。

どうして剥がれるのかはまだよく分かっていませんが、研究によると、この部分は構造色の効果で紫外線を反射することが分かっています。

さらに私たち人間には見ることができませんが、求愛中のペンギンよりも、つがいになった後のペンギンの方が反射率が高いそうです。そのため一説では、この紫外線の反射によって繁殖の可能性をアピールしていると考えられています。

また、キングペンギンのヒナはこの部分は黒く、繁殖が可能になるまではこのアピール方法も育っていないことが伺えますね。

旭山動物園へ突撃取材しました

キングペンギンの繁殖期は、南半球の初夏にあたる12月から1月です。しかし、今回旭山動物園ペンギンの下嘴板が剥がれたのは北半球での春先の3月のことです。北半球の3月は初夏でもなければ、ましてや12月や1月からは時期が離れています。動物の繁殖のアピールは繁殖期にするような気がしますが、なぜこの時期にこの現象が起こるのでしょうか?

旭山動物園の広報担当の方に聞いたところ、次のような解答をいただきました。

キングペンギンにとって春先は羽毛が生え変わる換羽期で、換羽期の後、初夏の頃に繁殖期を迎えます。もともと、換羽期に下嘴板が剥がれることは自然なことで、旭山動物園ペンギンたちは南半球に生息する野生のキングペンギンと同じように季節に合わせて生きています。そのため北半球の春先であるこのシーズンに下嘴板が剥がれるようです。

つまりこのタイミングで下嘴板が剥がれるのは、繁殖期に向けた準備の可能性が高いということですね。

また旭山動物園の担当者さんからはこのようなメッセージもいただきました。

旭山動物園では今回のTwitterへの投稿のように「私達飼育スタッフとしては当たり前のこと」を発信しています。この「当たり前のこと」に大きな反響があることに大変驚いています。また、このような「当たり前」を伝えるようなことが私達の魅力だと思っています。そのため、これからも情報発信をしていこうと考えています。

旭山動物園さん、本当にありがとうございました!これからも様々な発信を楽しみにしています!

ペンギン1羽でこれだけの衝撃的知識があるということは、おそらく動物園ではもっと色んな発見に出くわすのではないでしょうか。

これはもう動物園に不思議を探しに行くべきですね!

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written by 白大根
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