TOKYO MX地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。3月4日(月)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、一橋大学男子学生アウティング訴訟で遺族側代理人弁護士を務める南和行さんを中心に、判決について意見が交わされました。

2015年一橋大学法科大学院の男子学生が、同性愛者であることを同級生から暴露(アウティング)されたことを理由に、校舎から転落死した事件。十分な対応を取らなかったことが原因だとして、男子学生の両親が大学側に損害賠償を求めた訴訟の公判で、東京地裁は請求を棄却しました。

判決では、男子学生が相談していた教授やセクハラ相談室職員らの対応には問題はなかったと指摘し、大学として教育環境に配慮する義務に違反していなかったと述べています。

◆敗訴も「本質には何も触れなかった」

 アウティングとは、本人の了解を得ずに他人の秘密を暴露すること。この事件では、男子学生はパニック障害を起こすなど学校に行くことが困難になり、教授やハラスメント相談室に相談もしていましたが、2カ月後に授業を抜け出して転落死するに至ったとされています。
遺族側は当初、秘密を暴露した同級生と大学を相手に訴訟を起こしましたが、同級生とはのちに和解が成立。大学の「安全配慮義務」が争点になっていました。この裁判で遺族側の代理人弁護士を務める南さんは、憤りを込めてこう述べました。「アウティングというのは人間関係を破壊するんです」。

 今まで「自分はこういう人です」ということでコミュニティを築いていた中で、「いや、あいつは実はこうだよ」と暴露されて、結果として周りも巻き込んで自分の居場所がなくなってしまうのがアウティングの怖さ。南さんは「そうした本質を大学がきちんと分かって対応していたかが問題」だと指摘します。しかし判決は「その都度、大学は話を聞きました。本人もありがとうと言いました」というだけで「アウティングがどういう問題か、起こったときに周りがどういうふうに関わればいいのかといった本質には何も触れなかった」と悔しさを滲ませました。
南さんは「裁判所は問われたことに対して無責任だ」と控訴する方針です。


一方、大学で准教授を務める社会学者の西田亮介さんは、「アウティングは重要な問題で、解決しなければならないことは疑いない」としながらも、率直な感想をこう語りました。「大学が責任を問われるべきなのかというと、それはかなり難しい」


 西田さんによれば従来、日本の大学は、個人の私的な問題に対して積極的に関わっていたわけではなく、「この問題をカバーするためには、個々人がどんなことを考えて、学生同士でどんなことが起きているのかまで把握しなければならなくなる」と指摘。
「たとえばクラス替えが必要だったという議論がありますけど、日本の4年制大学で、特に文系の場合はクラスが重要な役割を果たしているとは言いがたい。大学が具体的にどのようなことができるかというと、難しい問題だと思います」と冷静に意見を述べました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイトhttp://s.mxtv.jp/morning_cross/

一橋大アウティング訴訟 大学側に責任はあるのか?