世の中、面倒なことには関わりたくないと思うような人もいるが、中にはそうでない人もいる。このほどアメリカで、学生が連れてきた娘を代わりに抱いて講義を行った教授に称賛の声が集まった。『New York Post』『Washington Post』などが伝えている。

ジョージアアトランタにあるモアハウス大学で、今月1日の出来事が人々の心を温かくしている。同大学で学ぶウェイン・ヘイヤーさん(Wayne Hayer、26)はこの日、生後5か月になる娘のアッサタちゃんを抱いて講義にやって来た。

アッサタちゃんはウェインさんの妻がいつも面倒をみているが、この日はアッサタちゃんの出生証明書を取得するために外出していた。妻思いのウェインさんは、アッサタちゃんを抱いてバスなどの公共機関を利用するのは大変だろうと思い、自分が世話をすることにしたのだ。

ところがウェインさんはこの日、中間試験前で講義に出席しなければならなかった。急なこともありベビーシッターが見つからず困り果てていたが、講義を受けているネイサン・アレクサンダー教授(Nathan Alexander、34)が「もし子供の世話で大学に来られないというなら、いっそのこと連れて来て下さい」と言ってくれた言葉を思い出した。

ウェインさんは、他の大学で女性が我が子を大学に連れて来るという話を聞いたことはあったが、モアハウス大学は基本的に黒人男性のための大学ということもあり、講義に乳幼児を連れてくる学生を目にしたことが無かった。

そのためアッサタちゃんを連れて行くことに不安があったという。ウェインさんは当時のことをこのように振り返っている。

「僕は胸にアッサタを抱いて教科書の入ったバッグを持ち、キャンパスへと向かいました。その姿はちょっと滑稽でしたね。そして怖気づきながら教室のドアを開けると、なんとアレクサンダー教授が両手を広げて僕を歓迎してくれたのです。」

アレクサンダー教授は、ウェインさんに「僕が抱っこするから君はしっかりとノートをとってくれよ」と声をかけた。そして教授はアッサタちゃんを胸に抱っこしたまま講義を進めた。講義後、学生の質問を受け付けている間もずっとアッサタちゃんを抱いたままだったという。

この時、同じ講義を受けていたヴォーンさん(Vaughn)がその様子を写真に収め、このようにFacebookに投稿した。

「この思いがけない出来事は、アフリカ系アメリカ人のための大学教育を理念に設立された歴史的黒人大学(Historically black colleges and universities、以下HBCUs)が黒人社会にもたらす力やインパクトを実感させてくれました。」
「この教授が、人生の中でどうにもならないことがあることを心から理解し行動してくれたことは、私にとって本当に衝撃的だったのです。」

これには多くの人が感激したようだ。「素晴らしい教授と熱心な学生の姿だね」「美しきHBUCs」「本当に素晴らしいことだね。人として自分達の仲間を助けるために、もっと何かしなければならないのかも…」といったコメントが見受けられる。なお、多くの称賛が集まったアレクサンダー教授だが、本人は「ウェインさんのことを誇りに思うとともに、彼をサポートできたことを嬉しく思う」と話している。

画像は『TheOriginal 2018年3月1日付Twitter「Student came to class today with his child due to no babysitter or anybody to watch her while he was in class.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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