3月13日に放送された「相棒season17」(テレビ朝日系)第19話で、鈴木杏樹演じる小料理店「花の里」のおかみ・月本幸子が“新たな旅立ち”のときを迎えた。2006年から約13年にわたって幸子を演じてきた鈴木が、現在の心境と主演・水谷豊への感謝を語った。

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幸子は「season4」の第19話「ついてない女」(2006年3月1日)で初登場。夫の死後、暴力団幹部の愛人となっていた幸子は、夫を死に追いやったのがその幹部だと知り、拳銃を使って復讐(ふくしゅう)する。

海外逃亡を企てていたところ、偶然出会った特命係に見破られ、逮捕された。

その後「season6」の第11話「ついている女」、第12話「狙われた女」(2008年1月16、23日)で再登場。この時は女性受刑者の脱獄計画に巻き込まれた揚げ句に殺害されそうになり、特命係に救い出される。

さらに「season10」の第12話「つきすぎている女」(2012年1月18日)では、出所後、幸運が続いたことから自分が狙われているのではないかと勘違い。

紆余(うよ)曲折を経て、右京(水谷)の勧めで「花の里」の2代目おかみに就任。以降は店を切り盛りし、「相棒」ワールドには欠かせない存在感を放ってきた。

そして13日放送の「season17」第19話で、詐欺、殺人事件に巻き込まれた少年に寄り添った幸子は、“自分が特命係に助けてもらったように、こんどは私が子どもたちの助けになりたい”と考えるようになり、「これからきちんと勉強して資格を取って、子どもたちを実際にそばで支える仕事に就きたい」と、自分の足で新たな道に向かって歩き出すことを決意。右京と握手を交わし、旅立った。

■ 鈴木杏樹「すごくいい台本だなと」

脚本を読んだときの感想を、鈴木は「今回の第18話、19話のシナリオは太田愛さんが書かれたのですが、最初に読ませていただいたとき、すごくいい台本だなと思いました。ストーリー展開や幸子さんの気持ちの流れがとても自然で、何より太田さんの愛がこもっているのを感じて、とてもありがたいなと思いました」と振り返る。

約13年にわたって演じてきた「幸子」というキャラについては「当たり前なのかもしれないですが、幸子さんは私にとって“誰よりもよく分かる人”なんです。

他の役を演じているときは、どんな気持ちでこのせりふを言うのか、どう考えてこんな行動を取ったのか、時として分からなくなって監督にお聞きすることがあるんです。

でも幸子さんに関しては、『この人のことは誰よりも私が分かっているんだろうな』と思う瞬間が本当に何回もありました」と語り、「“幸子さんだったらこう言うだろうな”“幸子さんならこんなふうに考えるだろうな”というのが、手に取るように分かるんです。

役作りという面でも、『さあ、今日は幸子さんになるぞ!』みたいに気合いを入れなくても、自然と彼女になることができました。

分身というかなんというか…幸子さんという人物に、鈴木杏樹が寄り添っているような感覚、といえばよいのでしょうか。これまで、こんな役には出会ったことがないですね。それは自信を持って言うことができます」と力を込めた。

また、主演の水谷について「水谷さんには“受け”のお芝居の大切さを教わりました。“受けて”くださるからこそ、こちらのお芝居が生かされる…。それを目の前で見せてくださるので、『やっぱり水谷さんってスゴイ! こんな俳優さんにならなくちゃ』と思わされました」と告白。

さらに「実は、最後の『花の里』のシーンも、水谷さんのお芝居がなかったら、あんなふうにできなかったなと思っているんです。最後、『花の里』で私の表情を撮っているとき、水谷さんは感情を静かにあらわにする形で右京さんを演じてくださったのですが、逆側から水谷さんを撮影するとき、全くお芝居が変わっていたんです。

つまり、最初のお芝居は、私のため…。私の感情が動くようにお芝居をしてくださったんです。それにあらためて気付いて感動しました。私も、いつか水谷さんみたいな役者さんになりたい。水谷さんは私にとって永遠の師匠というか、憧れの存在です」とエピソードを語りつつ、あらためて尊敬の念を表した。

■ 鈴木「またお会いできるときを待っていただけたら」

そしてファンに向けて「今回は、皆さんを驚かせてしまったことと思います。でも人生は一度きり…。一人の女性が自分のために新たな道に一歩踏み出すのも良き選択かな。そう思わせてくれる、素晴らしい脚本だったと思います。

幸子さんがこの先、どんなお仕事に就くのか分かりませんが、これからもまだまだ『相棒』の世界の中で彼女は生きているので、引き続き応援してくださったらうれしく思います。

そして、またお会いできるときを待っていただけたらありがたいですね。その間、幸子さんは頑張って資格を取って、必ずや大きく成長しています!」とメッセージを送った。

なお「相棒season17」は、次回3月20日(水)夜8時から最終回2時間スペシャル『新世界より』を放送。

遺伝子工学の研究者として世界的に名を知られた教授が殺害される事件が発生し、反科学主義を標榜する団体の仕業が疑われる中、右京はひと組の少年少女に注目する。

彼らは2人そろって記憶喪失だと主張。やがて事件を追ううち、致死率100%の新型ウイルスのパンデミックが発生!?

特命係は混乱を阻止し、世界を救うことができるのか、遺伝子工学など科学の進歩は人類に何をもたらすのか…。(ザテレビジョン

鈴木杏樹演じる月本幸子が新たな旅立ちへ