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黒田日銀総裁は今回の政策決定会合で、追加の金融緩和策の「具体策」を示唆するでしょう。示唆するだけでいいのです。それで日本株は上昇へ向かいます。(『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』藤井まり子)

※本記事は有料メルマガ『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2019年3月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

国際通貨マフィアの一員にして財務官僚、黒田総裁はどう動く?

黒田日銀総裁は記者会見で、具体的な「追加の金融緩和策」を示唆するか?

今週3月14日〜15日にかけて、黒田日銀は政策決定会合を開きます。国内のエコノミストたちはほとんどマークしていません。不勉強な国内主要メディアも報道しきれていません。

しかし、15日の政策発表後の記者会見で、黒田日銀総裁は「欧米の先進各国の金融緩和策への
大転換」に歩調を合わせるように(=協調するように)、近いうちの追加の金融緩和策の「具体策」を示唆する可能性がかなり高いです。

今は微妙なときですから、「近いうちの追加の金融緩和策」の具体策を示唆するだけでも、日本株式市場は上昇を継続することでしょう。

「具体策を示唆」するだけで良いんですよ!ただし、示唆するのは、「具体的な追加の金融緩和策」でなければなりません。

その好例が、ドラギECBの「TLTRO(金融緩和策の一種)」の示唆です。ドラギが「TLTRO」の発動を具体的に「示唆」しただけで、ユーロ圏の株式市場は上昇しています。

マーケットは、「ECBにも日銀にも『追加の金融緩和策の余地(=具体策)』がもう残っていないのではないのか?」と、疑っていますから、黒田日銀は3月7日のドラギ総裁のように「具体策を示唆」するだけで、OKなんです。

そうすれば、日本株式市場は15日を境に力強く上昇してゆくのではないでしょうか。

上昇への兆候は出始めている?

もちろん、今週に入って唐突に急上昇し始めている日本株式市場は、ただの「15日の日銀政策決定会合に照準を合わせたイベントドリブン取引」である可能性もあります。

政策決定会合後の記者会見で、黒田日銀総裁が何も具体策を示唆しない可能性もあります。その場合は、投機筋が潮を引くように日本株式市場から撤退してゆく可能性も残っています。

12日の参議院財政金融委員会で、日銀の雨宮正佳副総裁は、追加緩和の具体策について、「ベネフィットとコストを比較考量しながら、適切な方法を検討していく。<中略> 今の(YCC)の枠組みの下での追加緩和手段についても、『短期政策金利の引き下げ、長期金利操作目標の引き下げ、資産買い入れの拡大、マネタリーベースの拡大ペースの拡大』など、さまざまな手段が考えられる」とも述べています。

雨宮副総裁は、リフレ派でもなければアンチ・リフレ派でもなく、優秀な実務家です。雨宮さんが国会で具体策を証言すると、とても心強いですね。

「国民の生活や雇用よりも銀行経営のほうが大事な」国内エコノミストたちや、病的なまでに引き締め大好きの国内マスコミたちは、「黒田日銀総裁には『金融緩和の手段』はもう残されていない」と報道していますが、それは大きく間違っているのです。

とても難しい話で恐縮ですが、雨宮日銀副総裁が語っているように、今現在日銀が使っている「YCC(長短金利操作付きイールドカーブコントロール)」政策においでも、枠組みの拡張(=追加の金融緩和)は可能なのです。

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