女の子はママにとって同性の子ども。

お利口さんは逆効果!?「子どもに気持ちよくお手伝いしてもらう」5つのコツ

「女の子は育てやすい」などと昔から言われていますし、女の子は男の子より子育てがやりやすそうに感じますよね。とはいえ、「どういう点に気をつけて育てればいいの?」と戸惑う気持ちは、男の子も女の子もそんなに変わらないのではと思います。

女の子と男の子では、子育てで大事にした方がいいこと、言葉かけなども、やはり違うようです。

女の子の子育てで大事にしたいこと、言葉かけや叱り方で気をつけたい点などについて、女子教育専門家のリリー由梨さんにお話を伺いました。

女子校での勤務経験、そして大学院での女子校研究を経て「女子教育専門家」に

今回お話を伺ったリリー由梨さんは、元女子校教員。

13年間で3,000人以上の女子中高生の成長を見てきました。

共学に赴任した経験もありますが、とある女子校に勤務した際、女子生徒たちの底なしの明るさと自己肯定感の高さに驚き、女子校に大きな可能性を感じました。

そして、女子教育についてアカデミックに研究すべく、教員を一旦退き、大学院へ戻り、女子校の研究をし、現在は「女子教育専門家」として活動されています。

そんな女子教育のスペシャリストであるリリー由梨さんが女の子の子育てで最も大事だと感じていることとは、いったいなんなのでしょうか?

たった2つ!女の子の子育てで一番大事にしたいこと

女の子の子育てで大事なもの、それは、『受容』と『共感』です。女の子は、この『受容』と『共感』があって、初めて『安心』して心を開きます。心を開いて初めて、大人との信頼関係が始まります。

男の子は、どちらかというと、受容や共感よりも、『力』や『強さ』を求めます。力がある強い人を尊敬し、自分もそうなろうとします。

女の子は、自分の存在をまるごと受け入れ、自分の気持ちを分かってくれる人がすぐ近くにいるというのが、なにより大事なのです。

受容と共感をたっぷり受けて育った女の子は、心が優しく豊かで、自己肯定感も高いです。

コミュニケーションもとても上手なので、周囲と良好な関係を築くことができます。

受容と共感を示すコミュニケーション法2つ

女の子の子育てで最も大切な、受容と共感。その受容と共感は、どのようにして示したらいいのでしょう?

コミュニケーションの方法について、アドバイスを伺いました。

1.女の子の「どうしよう…」は笑顔で受け入れる

女の子たちは、口癖のように「どうしよう」「どうしよう」と言う時期があります。これは男の子たちにはあまり見られない特徴です。

なぜ「どうしよう」と言うかというと、それは安心が欲しいからなんですね。必ずしも解決策やアドバイスを求めているわけではないのです。

「どうしよう」と言われたとき、ママが「どうしたの!?」「なにがあったの!?」と同じようにうろたえてしまっては、女の子は余計に不安定になりますし、不安が大きくなります。

女の子が「どうしよう」と言ってきた場合、まずは笑顔で目を見て、「大丈夫よ~」と言ってあげることが大切です。

そうすると、女の子たちは「自分の不安を受け入れてもらえた」と感じ、安心します。安心感を得たら、おのずと地に足をつけて、問題に自ら向き合います。

つい言ってた?女の子に言わない方がいいNGワード

2.「がんばって!」ではなく「がんばってるね~」

子どもを励ますとき、成果を出してほしいとき、「がんばって!」と声をかけるママもいらっしゃると思います。

日常的に何気なく使ってしまうこの「がんばって」という言葉、男の子には気持ちを奮い立たせるのに有効なのですが、女の子には逆効果になってしまうことがとても多いです。

がんばっている子の場合、「もう十分がんばっているのに、ママは分かってくれていない!」という気持ちになり、心を閉ざしてしまうのです。

女の子には「がんばって!」ではなく、「がんばってるね~」と声をかけるほうが効果的です。

がんばっている子の場合、「ママは自分のことを分かってくれている、ちゃんと見てくれている」と思い、よりがんばるようになります。

実はあんまりがんばっていなかった子の場合は、「ごめんね、ママ、実は…」と、がんばっていなかったこと、がんばれなかった理由を打ち明けてくるでしょう。そしたら、その話をちゃんと聴いて、共感を示してあげてほしいのです。

自分の気持ちを吐き出し、それを聴いてもらえたら、女の子たちはすっきりして、また自分と正面から向き合って課題や問題に立ち向かおうとするはずです。

女の子の叱り方はココに注意!

次に、女の子を叱る場合に注意したいことについて伺いました。

1.人格否定ではなく「行動」を指摘する

子どもを叱るとき、「どうしてそんなに意地悪なの?」「だらしないわね」「あなたは本当にダメな子ね」などと人格を否定する言葉を使うのはNGです。

これらの人格否定は、「自分という存在を丸ごと受け入れてもらえている」という『受容』の姿勢とは程遠いものです。

女の子たちの心は深く傷つき、自己肯定感も低くなるばかりです。

叱るときは、人格ではなく「行動」を指摘しましょう。そして、「なぜその行動がダメなのか?」「どうしたらいいのか?」という理由も明確に伝えてあげましょう。

  • 「お友達におもちゃを貸してあげようよ。自分もおもちゃ貸してもらえなかったら嫌な気持ちになるし、貸してもらえたら嬉しいでしょう」
  • 「お部屋が散らかったままなのは、だらしなく見えてしまうよ。遊び終わった後は、お部屋はきちんと片付けてね」

このように行動を指摘すると、ちゃんと分かってくれます。心を無駄に傷つけることもありません。

2.大きな声や音は出さず「静かに」「丁寧に」伝える

女の子は大きい音や声が苦手です。大きな音や声は、脅威に感じます。トラウマになる子もいます。なので、叱るときには、大きな声や音は出さないようにしてほしいと思います。

私も現役で担任を受け持っていたとき、生徒を叱らなければいけない場面がたくさんありましたが、どんなときも感情的にならないよう注意し、真剣に向き合うようにしていました。

感情的になると、どうしても声が大きくなってしまいますし、言葉も乱暴になります。

また、こちらが感情的になると、女の子も同じように感情的になるのです。そうなるとまったく話になりません。

静かな口調で丁寧な言葉使いで伝えたほうが、ちゃんと聴く耳を持ってくれますし、こちらの言いたいことを正しく理解してくれます。

女の子を子育て中のママは、女の子の子育てについて、リリー由梨さんのお話は具体的で、とても参考になったのではないでしょうか。

『受容』と『共感』を忘れずに、女の子の成長を支えていきたいですね。

【取材協力】リリー由梨

株式会社PLANET blanc. 代表取締役。女子教育専門家。「タフでエレガントな女性育成塾」を主宰。

大学卒業後、オーストラリア教育庁のもと現地の小学校へ日本語教師として赴任。英語で日本語や日本文化について授業を行う。帰国後、13年間、公立や私立の学校にて教壇に立つ。

ある年女子校へ赴任した際、今までの共学の女子との明らかな違いに衝撃を受ける。女子校にポテンシャルを感じ、アカデミックに研究すべく大学院へ進学。研究は「アメリカの女子校教育について」。修了後、関西の名門女子中学高等学校へ英語の専任教諭として就職。

現在は13年間の中学高校での教育現場で得た体験と大学院での「女子校」研究を活かし、女子教育専門家として活動。また、得意なコーチングで”タフでエレガントな女性”を育成する英語塾を開講している。