オリヴェイラ監督が北京国安戦の“アウェーの洗礼”を明かす

 浦和レッズオズワルド・オリヴェイラ監督は、15日のトレーニング後に記者会見を行い、先日の北京国安(中国)と対戦したAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のアウェーゲームを「日本とは全く違うものだ」と話した。

 浦和は13日のゲームに向けて北京遠征を行い、アジアサッカー連盟AFC)の公式記録ではシュート数が「0対20」という厳しいゲームになりながら0-0で凌ぎ、勝ち点1を持ち帰った。以前に「Jリーグは世界的に見てもホームとアウェーの差が少ないリーグ」と話していた指揮官に、あらためてその差を問うと「ACLは全く、すべてが違う」と語った。

「日本人は相手をリスペクトしますし、相手を歓迎する。サポーターも相手に対して教養のある行動を取る。つまり、受け入れられない状況は、日本国内ではあまりない。Jリーグの試合では、アウェーチームを歓迎する姿がある。相手サポーターから悪意のある、排他的な行動を取られることが、ないとは言わないが少ない」

 まずオリヴェイラ監督は、日本のサポーターの姿勢についてこう語った。確かにJリーグでは、スタジアム内のアナウンスでも相手チームのサポーターに対して「ようこそ」というメッセージを送ることが多く、イベントなどでも出演者が相手サポーターに呼びかけ、それに対して拍手で応える姿もある。しかし、クラブレベルで国際試合のアウェーに行けば言葉の壁もあるが、あまりそういった光景に出くわすことは少ない。

 さらにオリヴェイラ監督は「一つ、例を挙げましょう」と話し、今回の北京遠征で浦和が受けた扱いを話した。

「今回、北京ではスタジアムで前日練習をしたが、そのタイミングでは芝が刈られていなかった。コーチングスタッフが(スタジアム内の)上から試合を見られないという状況があった。日本であれば、相手チームのスタッフが席まで案内してくれる。日本では、ピッチ内での純粋な対戦のみで勝敗が分かれる。これで言いたいことは伝わるでしょう。ですから、ACLは全く違う。それに加え、行く国によっても扱いは全く違うものだ」

環境面での不利を跳ね返し、勝ち点1を持ち帰った意味

 Jリーグの記者席には、しばしば「アウェークラブ用」というマークがされた席を見かける。そこでクラブスタッフが試合を見て、ハーフタイムなどに状況を伝える場面に出くわす。しかし、今回の北京遠征ではそれが許されなかったと話した。こうしたところにも、“アウェーの洗礼”を浴びせられるのが国際試合だと言えるのだろう。

 こうしたことの、どちらが正しいという答えを簡単に出せるものではないが、少なくともJリーグのアウェーとACLのアウェーはすべてが違うということは伝わる。ことさらに、「ACLではアウェーで勝ち点1を持ち帰るのが大切」という言葉が選手たちから発せられるのも、長距離移動などの厳しさだけでなく、こうした環境面での不利も跳ね返す必要があるからだろう。

 浦和にとってみれば、その厳しい北京遠征で持ち帰った勝ち点1は、ピッチ上の苦しい内容を補って余りあるものだったと言えるはずだ。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

浦和を率いるオリヴェイラ監督【写真:Football ZONE web】