魔法少女という題材ながら、自衛隊との連携やテロリストとの戦いといったハードな物語がひと際目を引く「魔法少女特殊戦あすか」。2019年1月から放送が始まったTVアニメも、いよいよクライマックスへと向かっていきます。WebNewtypeでは、原作者であり、TVアニメシリーズ構成も担当している深見真氏を軸にインタビューを実施。シリーズ構成海法紀光氏、そして山本秀世監督との対談を全4回にわたって掲載していきます。

「魔法少女特殊戦あすか」より

第2回目は、深見真氏と海法紀光氏の対談の後編をお届けします。

――TVアニメの脚本は、原作でのエピソード時系列が入れ替わっていたり、原作にもないやりとりが付け加えられていたりと、とても綿密に構成されていると感じました。

深見:その辺の丁寧な仕事ぶりは、すべて海法さんと小太刀右京さんのおかげです。

海法:「あすか」に関しては大がかりに手を入れさせていただくというほどではなく、多少ちょこちょこやらせていただきましたが、うまくハマったのではないかと思っています。

深見:あすかたちに映画を見させたい、というアイディアは小太刀さんからのものでした。「希美の記憶が消えてしまうのなら、印象的な記憶を消させたい」と。第6話で登場したアニメオリジナルキャラクターサンディノも小太刀さんによるものです。海法さんに書いていただけた第1話では、紗綾子があすかに聞かせるために読んでいる本を朗読するシーンアニメオリジナルの描写でした。ここはすごく海法さんらしいなと。

海法:ちなみに、その時紗綾子が朗読した本はアーシュラ・K・ル=グウィンの「夜の言葉」です。

――パトカーサイレンにおびえたりと、紗綾子の描写が原作よりも手厚くなっている印象を受けました。

深見:それも海法さんの発案です。

海法:沖縄でのエピソードでも紗綾子たちが登場することがもう決まっていましたので、それならば前半に一つエピソードを増やしておこうと思いまして。

深見:原作では、希美と紗綾子は沖縄から早々に帰ってしまっていますからね。僕もこういう展開を思いつけていたら、原作でもこうしていたかもしれません。

海法:とはいえ、月刊ペースの連載でここまでカメラをあちこちに振ってしまうと、読みづらさも出てしまうのではと思いますよ。TVアニメなら3話続いても3週間ですが、月刊連載だと3カ月になってしまいます。

深見:なるほど。あと第3話の映画の話に話題を戻しますが「チアリーダー侍vsメガトンシャーク」も印象に残っていますね。最初は海法さんの発案で「チアリーダー忍者」だったのですが、なんと「チアリーダー忍者が出てくる映画は本当にあります」と言われてしまって。「実在するのかよ!」と(笑)

海法:あれは驚きましたね。先を行かれていたなぁ(笑)

深見:しかもオンエアを見たら、映画のビジュアルもすごく凝ってくださっていて二度ビックリでした(笑)。僕が脚本を手がけた第7話の冒頭ではあすかたちの3年前の戦いが回想として描かれていますが、ここでタマラが「あと1時間だけ耐えろ」とあすかをはげますシーンアニメオリジナルです。気に入ったので、これを書いたあとに原作にも逆輸入しました。

――すぐに逆輸入できるのも、原作者の方が自ら脚本を書かれる作品ならではですね。第8話からは、沖縄が舞台になっています。

深見:第8話から第11話までは一つのエピソードになっているので、僕と海法さんとで同時期に取りかかって「このシーンでここまで書いてしまった方がよいのでは」などと連携を取りつつ書き上げました。第8話の脚本はクレジット上は僕になっていますが、紗綾子のエロい人口呼吸シーンを書いたのは実は海法さんです(笑)

――オンエアをここまで振り返ってみて、あらためて感じられたキャラクターの魅力についてもお聞かせください。

深見:僕はくるみと希美がお気に入りですね。特にくるみは、動けば動くほどひどい(笑)

海法:アニメになって動いて声がついたことで、くるみは一段とひどくなりましたよね(笑)

深見:希美は第4話でアビゲイルに拷問されているシーンの、高橋(李依)さんの芝居に圧倒されました。ヘンな話ですが、ここで希美が一層魅力的になったのかなと。

海法:あのシーンの収録時、高橋さんがセリフリテイクを出しておられたんですよ。それも音響監督の岩浪(美和)さんも「今のでよかったと思うけどな」とおっしゃるくらいのお芝居だったのですが、その理由が「苦しんで悲鳴をあげているシーンなのに、一瞬ブレスを入れてしまいました」と。しかも、リテイクではそのわずかなブレスも本当になくて。

深見:このシーンは原作以上だったのではないかと思います。山本監督はいつもニコニコしていて穏やかな方なのですが、ここの演出はキレッキレでしたね。本当は拷問シーンが好きに違いない。

海法:それはどうだろう……(笑)

――主人公あすかについてはいかがですか。

深見:あすかはいわゆる帰還兵で、しかもマジメでかっこいいタイプ。そんな彼女を演じる洲崎(綾)さんの"イケメン"演技も、とてもよかったです。アニメを通して、あすかが持つ"女の子にモテそうな女の子"感が視聴者のみなさんにも伝わっていればよいなと思います。あとは、関根(明良)さんが演じるくるみの拷問シーン

――「マジカル自白剤」など、一瞬理解にとまどってしまう単語もユニークでした。

深見:頭にマジカルが付いてればいいでしょというのは、昔からの"あるあるネタ"ではあるので、それを「あすか」で突き詰めてみたいという思いはありました。この作品における「マジカル」は「タクティカル」の言い換えのようなものだと思っていただければ。菊池(こころ)さん演じるサッチュウも印象的でしたね。「立ち位置としてはマスコットキャラだけど、別にかわいいわけではない」という絶妙な匙加減を、見事に汲んでくださいました。

海法:これが俺たちのサッチュウだ! と思えましたよね。

――本日(3月15日)に第10話が放送され、いよいよTVアニメクライマックスをむかえています。最後に、ラストに向けた見どころをお聞かせください。

深見:沖縄での戦いは、原作で軍事設定協力をしてくださっている田村尚也さんが部分的に脚本にも参加してくださいました。そのアドバイスのおかげで、オペレーターたちのセリフに臨場感が増していますので、そんなところにも注目していただければ。

海法:魔法少女たちが戦っているときに、大人たちは何をしていたのかというのが見えやすくなっていると思います。

深見:そしてそのあと、最終話となる第12話にはもう一回拷問シーンがありますのでお楽しみに!

海法:……そ、そうね? 楽しみだね!?(WebNewtype・【取材・文:勝田周】)

「魔法少女特殊戦あすか」より