三大疾病「がん・脳卒中・心筋梗塞」が急激に増える40~50代。日本人の死因割合の半数以上を占め、突然死にも直結する三大疾病。では、どうすれば発病を遠ざけることができるのか、専門家に詳しく見解を聞いてみた。

◆三大疾病による死を回避するためにやるべきことは?

 がん哲学外来理事長の樋野興夫氏はこう解説する。

「がんは早期発見&早期治療によってほとんどの症例が完治します。にもかかわらず、初期症状の多くが自覚できないために発見が遅れてしまいます。だからこそ細やかな検診がカギを握るんです」

 人間ドックは、広く浅く体全体をチェックする検査。細部までは注意が向かないのだとか。

「がん検診によって、ステージの浅い段階でのがん発見ができる可能性があります。がん細胞が『早期がん』になるまでは約10年かかるといわれていますが、『早期がん』→『進行がん』→『末期がん』に至るまではたった3年。年1回の受診が理想ですね」

 がん検診の費用は各地方自治体で異なるものの、自己負担額は概ね2000円以下。さらに40代は大腸がんの無料クーポンも発行されているので、ぜひ利用を。

 また、樋野氏同様に人間ドック以外に専門の検診を推奨するのは循環器内科医の川井真氏だ。

「心臓のCT検査と超音波検査、運動負荷心電図検査などにより心疾患の早期発見が期待できます」

 いずれも保険適用の3割負担でCT検査が3000円前後、超音波検査が1万円前後、心電図検査が5000円前後で受けられる。

 脳血管疾患についても、脳神経外科医の村山雄一氏は「くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤ができる理由は明らかになっていませんが、破裂する前の瘤を見つけることで対処できます。脳血管疾患は40~60代にかけて増加するので、40歳になったら一度スクリーニング検査を受けましょう」と語る。

 動脈瘤をスクリーニングする頭部MRI検査も保険適用で、7000円前後で受診可能だ。

 いずれも適切な検査での早期発見こそが、生き残る大前提だ。

◆三大疾病に罹りにくい体をつくるには?

 続いて三大疾病に罹りにくい体をつくるにはどうすればいい? 川井氏は次のように解説する。

「動脈が狭まり血流がストップする原因の一つに“脂”があります。特に焼き肉やモツ類などの脂っこいものばかり摂取している人は危険。健康診断で『悪玉コレステロールが高い』『善玉コレステロールが低い』『血糖値が高い』と注意されたら食習慣を見直しましょう。おすすめはオメガ3系脂肪酸が豊富なイワシサンマ、アジなどの青魚を摂ることです。体をクリーニングし、血栓をつくりづらくする効果が期待できます」

 また、食べ物や飲み物を熱いまま摂ると「口の中や食道の粘膜が傷つき、食道がんと食道炎のリスクが高まる」という報告も多い。さらに、夏と違って水分摂取を怠りやすい季節にも落とし穴が……。

脳梗塞は脱水状態の時に起きやすいので、小まめな水分補給が必須です。目安は、2リットルボトルを一日2本。一方の脳内出血は、塩分の過剰摂取で引き起こされます。“減塩”も心掛けて」(村山氏)

◆身体活動量が高いと、がんリスクは低下

 もちろん運動習慣も重要だ。免疫力が高まるだけでなく、ストレス解消にもつながるため、心身のバランスを保つ上でも役立つ。

「ただし、激しいスポーツ筋トレといった無酸素運動は三大疾病の予防には効果はなく、急な運動は危険な場合も。むしろ、軽いウォーキングを30分以上、週2日やれば十分。それだけでリスクを大幅に下げられます」(及川氏)

 実際、国立がん研究センターの研究報告でも、身体活動量が高い男性ほど、がんになるリスクは低下。部位別に見ると、結腸がん、肝がん、膵がんのリスクが低くなることがわかっている。

「年齢を重ねるにつれて動脈硬化は進行します。適度な運動、寝不足の解消などで、生活習慣病を予防することが、大病の予防にもつながるのです」(村山氏)

◆体が発するシグナルとは?

 食事と運動で防御力を高めたら、あとは体が発するシグナルに気づけるかどうかが命運を握ることになる。及川氏はこう話す。

心筋梗塞の場合、いつもと違った息切れ、動悸、吐き気、肩こりといった症状が見られます」

 脳卒中も前兆に特徴がある。

「片方の手足や顔半分に麻痺やしびれが生じたり、平衡感覚がおかしくなったりして、ふらふら歩きになるといったケースも目立ちます。風邪と思うような軽い頭痛が前兆のこともあります」(村山氏)

 では、日本の死亡原因の第1位であるがんの場合はどうか。樋野氏は次のように予兆を列挙。

「結局、部位別になってしまいますが、大腸に異常があれば、血便や腸閉塞による腹痛や吐き気。胃なら胃痙攣。肺なら咳や呼吸異常などが代表的でしょう。直接的に症状が出にくい肝胆膵(肝臓・胆のう・膵臓)系は判断が難しいですが、倦怠感や全身のかゆみなどがヒントになるかもしれません」

 自分の外側の情報を正しく得て、内側の声を拾うことが、三大疾病の死から逃れる術だ。

<生き残るための3か条>

・年に一回、3つの精密検査を受診する

・生活習慣を整えて体内をクリーニングする

・体の不調を軽く捉えて放置せず、病院に行く

― [早死にしない]生き方 ―