敵地でC大阪に残り15分から逆転 途中出場の山中&マルティノスが得点に絡む

 浦和レッズは17日のJ1リーグ第4節セレッソ大阪戦に2-1で勝利し、2連勝を飾った。敵地で1点を先制されながら、残り15分を切ってからの逆転勝利に導いたのは、途中交代で投入された2人の選手だ。

 浦和は後半19分に先制を許す苦しいゲームになった。すでに後半の早いタイミングでMF長澤和輝に代えてMF柴戸海を投入していたため、残された交代カードは2枚。オズワルド・オリヴェイラ監督の選択は、DF山中亮輔とMFマルティノスの同時投入だった。同31分、山中はMF宇賀神友弥と代わって左ウイングバックに入り、マルティノスはMF柏木陽介との交代で左のインサイドハーフに入った。

 すると、いきなり山中がその左足の威力を見せつけた。交代のタイミングが浦和のFKの場面だったため、山中がキッカーを務める。すると、ゴール中央からやや右サイドの位置から左足で入れたストレートボールは、走り込んだFW興梠慎三の頭にピタリと合った。これがエースの同点ゴールを呼び込み、いきなりの大仕事となった。

 殊勲の山中は「誰がというよりは、ウチはターゲットになれる選手が多いですし、セットプレーは攻撃力があると思うので、普通にキックすれば決まると思いましたし、そこは一つ特徴を出せて良かったなと思います」と、投入直後に結果を残したことに喜びの声を残している。

 そして次に力を見せたのがマルティノスだった。同35分過ぎ、右サイドから展開されてきたボールを左インサイドで受けると、そこから一気にスピードを上げて縦に突破。ペナルティーエリア内まで進出したところで倒されるとPKの判定となり、これをFW杉本健勇が蹴り込んで逆転の決勝ゴールになった。

 オリヴェイラ監督は、この交代の判断と意図を「練習でも左サイドで山中とマルティノスはよく絡んでますし、二人ともスピード、パス、クロス、シュートとそういったものを持っている選手たちです。ですので、本日は二人を同じサイドに入れれば形ができるというふうに期待しました」と話す。そして「監督で負けるという試合があります。そして監督が勝たせる試合、監督のおかげで勝てた試合というのは少ないと思いますが、本日は監督の勝利にできたかなと思います」と、交代策の的中にしてやったりの表情だった。

 山中とマルティノスは、前所属の横浜F・マリノスでともにプレーしている。マルティノスは昨季から、山中は今季から浦和に加入したが、その相性の良さはこれまでの試合でも感じられた。山中自身もまた「マルちゃんとは言葉が通じないけど、感覚的なことは合うと思いますし、結構練習から出せています。かなり良い感じですね」と、“ユニット”としてのコンビネーションに自信を語る。

ベンチメンバーの充実に表れている大型補強の効果

 昨季の浦和を見ると、先制したゲームでは1点を取りに来る相手の姿勢を利してプレーすることが上手い反面、追いかける展開になった時に問題を抱えていた。しかし、この日は途中出場の山中とマルティノスの活躍で逆転。特にマルティノスは、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の第1節ブリーラム戦(3-0)で途中出場からアシストを記録した新加入のMF汰木康也とともに、“スーパーサブ”になり得る攻撃的な特徴を持っている。

 また、昨季までであればFW武藤雄樹が欠場したゲームで、長澤と柏木が交代で退けば誰がセットプレーを蹴るのかという状況だったが、今季は山中の左足という武器がありキッカーの層も厚い。オリヴェイラ監督は新たに獲得した選手たちをいきなりレギュラー起用することに慎重な姿勢を見せているが、こうした形で補強の効果は表れ始めている。

 浦和は2月16日富士ゼロックススーパーカップ川崎フロンターレに0-1で敗れた今季の公式戦初戦から、ゲームの内容的に勝利が妥当だったと言えるのはACL初戦のブリーラム戦くらいだった。それでも、リーグ戦では2勝1分1敗の勝ち点7を獲得し、ACLでは1勝1分の勝ち点4を獲得。結果を残すしぶとさを見せ、シーズン最初の1カ月を終えた。

 日本代表の活動期間では、さらに連係面の向上やメンバー選考の変化も生まれることが予想される。山中もまた「個人的にはもっと試合に出るためにアピールしなきゃいけないですし、そういった意味でも重要な期間だと思うので、チームの戦術をすり合わせていきたい」と、レギュラー奪取に意欲を燃やした。苦しいなかで勝ち点を確保してきた浦和が試合内容も向上させることは、クラブが掲げるリーグとACLの同時制覇という前人未到の目標達成のためにも欠かせないはずだ。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

試合内容が悪くとも、粘り強く勝ち点を積み重ねる浦和レッズ【写真:Getty Images】