成田空港第3ターミナルの路線バス降車場が移設。これにともない、高速バスなどでターミナルの停車順が変更され、第3ターミナルへの到着時間が短縮されます。「遠い」ともいわれていた第3ターミナル、アクセスはどう変わるのでしょうか。

「余計な半周」不要に

成田空港第3ターミナルに、新しい路線バス降車場が2019年3月28日(木)にオープン。これにともない、たとえば京成バスでは空港行き高速バス全16路線で、ターミナルの停車順を次のように変更します。

・2019年3月27日(水)まで:第2ターミナル→第1ターミナル→第3ターミナル
・2019年3月28日(木)から:第3ターミナル→第2ターミナル→第1ターミナル

東京エリア各所からの「リムジンバス」(東京空港交通など)や、東京駅発着の「THEアクセス成田」(ビィー・トランセ、ジェイアールバス関東)なども同様に停車順を変更し、第3ターミナルまでの所要時間を短縮。この変化について、空港を運営する成田空港空港は次のように話します。

「これまで都心からの高速バスなどは、高速道路を降りると空港ゲートを抜け、第2、第1ターミナルと停車し、いったん戻るような形で、先の空港ゲートに隣接する第3ターミナルのバス乗降場へ向かっていました。道路形状の関係から、バスがまず第3ターミナル近くを通るにもかかわらず、第3ターミナルをご利用されるお客様は、空港内に入ってから10分ほど乗車することになっていたのです」(成田国際空港

このたび、高速道路を降りてすぐの場所に路線バス専用の分岐路が設けられ、空港ゲートを経由せず、新設の第3ターミナル降車場へ向かうことが可能に。第3、第2、第1と“手前側”から順に停車でき、従来のように第1から第3ターミナルへ客を乗せて“戻る”必要がなくなります。

成田国際空港によると、第3ターミナルへの所要時間を短縮できるうえ、第2と第1ターミナルの到着時間は従来と変わらないとのこと。なお、空港発のバスについては、これまで通り第3、第2、第1ターミナルの順での停車が基本です。

鉄道より早く、運賃も格安

都心から成田空港第3ターミナルまで鉄道を利用する場合、空港第2ビル駅から連絡路で徒歩約15分、またはターミナル間連絡バスで約5分かかります。東京駅から空港第2ビル駅までの所要時間は、JRの特急「成田エクスプレス」で直通50分、京成「スカイライナー」を利用する場合は47分(いずれも成田国際空港が案内する乗車時間。「スカイライナー」は日暮里駅での乗り換え時間を含まない)ですので、連絡バスへスムーズに乗れたとしても、第3ターミナルまで60分程度はかかることが想定されます。

対して高速バスの場合、東京駅八重洲口から第3ターミナルまで、京成バスなどの「東京シャトル」で75分、ビィー・トランセなどの「THEアクセス成田」で80分かかっていましたが、今後は第3ターミナルへ最初に停まるため、前者は57分、後者は60分で着くようになります。なお、どちらも運賃は当日現金払いで1000円(予約割引、深夜割増あり)です。

LCCの就航とともに格安の『LCCバス』として『東京シャトル』の運行を開始しましたが、LCCの便数拡大もあり、『東京シャトル』は現状でも第3ターミナルをご利用のお客様が、第1、第2ターミナルのお客様より多い傾向です。今回の時間短縮は、『便利になった』というお客様からのお声が期待できます」(京成バス

成田空港では、第3ターミナルに発着するLCCのシェアが当初予想を上回る勢いで拡大しており、2017年度には発着回数で3割を超えるに至っています。このため、2021年度末ころの完成を目途に第3ターミナルを増築し、ターミナルの旅客取り扱い能力を現行の年間900万人から1500万人まで向上させる機能強化事業も進められています。

高速バスが行きかう成田空港内の道路。各ターミナルへ順に停車していく(2018年3月、中島洋平撮影)。