今月自らを捧げたガジェット

薄く切った食材に温風を当て続けて乾かしてくれる多段式のフードドライヤー。好みのレシピでドライジャーキー、ドライフルーツが作れるため、市販品は糖分・塩分が多いとお悩みの方にピッタリ。温度設定と乾燥時間次第でカリカリにも、しっとりにも仕上げることができる。タイマー機能がないのが残念。しかしこの値段でオリジナルのドライフードが作れるメリットは大きい。

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サンコー
自家製ジャーキーメーカー
実勢価格:3980円

酵素を壊さず身体にいいフルーツチップスを作るフードドライヤー
以前から欲しかったアイテムがこれ! コンパクトで安価なフードドライヤーです。数万円〜十数万円となる業務用はたくさんありますが、数千円のコンシューマー向けモデルとなると少数、と思っていたら近年、複数のセラーがAmazonで民生用のフードドライヤーを販売するようになって、気になっていました。

しかし、イザ買うとなると輸入販売元をどこまで信用できるか、という問題が勃発です。ヒーターで温めた温風を庫内で循環させるというシンプルな構造ゆえに、そうそうトラブルが起きるものではないだろうと思いつつも、調理家電ゆえに一抹の不安はどうしても残ってしまう。

うーん、実店舗で実機を確認したいし、保証制度も整っているショップがないかな。と探していたところ、発見したのです。サンコーレアモノショップで。くー。なんだろうな彼らのツボの付きかたは。現代の王様のアイディアといってもいいのではないでしょうか。

さて、コイツの製品名は「自家製ジャーキーメーカー」。ビーフジャーキーチキンジャーキー作りに適したフードドライヤーです。薄切りにした肉をタレに漬け込んだり、塩やスパイスふりかけて揉み込んでから、70度で8〜10時間乾燥させると、暴力的な旨味の爆弾と化したジャーキーのできあがり!

市販のジャーキーと違って脂身を残したままで作れるので、ちょっとこの美味しさ尋常じゃない。高密度な肉の旨味にタレの甘味、辛味、塩のしょっぱみが重なって、いつまでも噛んでいたくなるし、ええいビールはどこだ! と冷蔵庫に走ること間違いありません。

自作ですから、さまざまな肉の種類が使えるのもいいですね。牛タンもいいしミミガーも美味しい。なお保存するならさらにオーブンで5分ほど焼き締めて殺菌したほうがいいのですが、できたてをそのまま食べるなら「自家製ジャーキーメーカー」だけでOKかも。

ところで「自家製ジャーキーメーカー」のトレイは薄いのですが、トレイの重ね方によって高さのある食材も乾燥できます。しいたけしめじは、もともと水分が少ない食材ゆえにカットしなくてもOK。スープによしパスタによしな、干しきのこのウマさは誰もが認めるところでしょう。それもカンタンに作れちゃう「自家製ジャーキーメーカー」まじさいこう。

温風の温度設定は間違えないようにする35〜70度までの温風で食材を乾かせる。温度が高ければ高いほど完成するまでの時間を短縮できるが、フルーツしいたけなどは40度前後の温風で、長時間乾燥させたほうがいい。牛肉や豚肉、鶏肉を使ったジャーキーを作るなら、温度は高めの設定にしたほうがいい。

そしてイチオシなのが40度前後・10時間ほどの乾燥時間で作れるドライフルーツです。市販品は果物そのものの甘みだけではなく、砂糖が入っているものが多いですよね。無添加とうたわれているものでも防腐処理のために表面に砂糖をまぶしているものもあるし。

もしも果物の甘酸っぱさを押し出したドライフルーツが好みなら、自分で作るのが一番。真の意味で無添加のドライフルーツが作れますし、アサイー、いちご、グレープフルーツ、パパイア、ブルーべりー、みかん、レモンなどはもともと糖質が少ないし、ドライにすればダイエットにもいい!

1個で買うよりパックで買うより、箱で買ったほうが安くなるフルーツたち。しかし食べきれなかったとしたらもったいない。足が早いだけに、腐るまえに対処したい。そこでおすすめなのがフルーツチップス。薄く輪切りにして乾燥させるだけでOK。しかしオーブンなどを使うと温度が高すぎて酵素が壊れてしまう。かといってベランダでの風乾は時間がかかる。「自家製ジャーキーメーカー」のようなフードドライヤーならば、栄養を保ったままのドライフルーツが作れるのでおすすめだ。

薄切りにして乾燥させたフルーツチップスは見た目も綺麗ですし、ミネラルウォーターに漬けたり、紅茶に入れたり、ヨーグルトと一緒に食べても美味しいんです。酸っぱさでトップを狙えるドライレモンは、お酒のオツマミにもなるから大したもんだ。

乾燥させる食材はなるべく薄く切ること
水分を多く含んでいるフルーツは乾燥させにくい。そこで、なるべく薄く切ることが重要になる。「自家製ジャーキーメーカー」は5段のトレイがあるから、薄く切ったとしても多くのフルーツを同時に乾燥させることができる。

なお「自家製ジャーキーメーカー」にタイマー機能はありません。設定した時間がきたらAC電源を強制的にOFFにするプログラムタイマーと合わせて使うと便利ですよ。

武者良太(むしゃりょうた)ガジェットキュレーター。音響機器、スマートフォン、最先端技術など、ガジェット本体だけでなく、市場を構成する周辺領域の取材・記事作成も担当する。元Kotaku Japan編集長。

※『デジモノステーション』2019年4月号より抜粋。

text武者良太
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掲載:M-ON! Press