新鮮な果物の栄養価が高いというのは、口から摂取することを前提とした上での周知の事実である。しかし中国で、その栄養を素早く摂取しようと20種類もの果物の果汁を直接静脈に注射した女性のニュースが報じられた。地元メディア『潇湘晨报网』をはじめ『shanghaiist』『South China Morning Post』などが伝えている。

湖南省チン州市桂陽県に住む51歳のヅァン(Zeng)さんは、普段から健康な生活を送ることを心掛けており、閉経期を迎えた後は特に健康的になるための流行や情報を熱心に取り入れていた。

そんなヅァンさんは新たな手法にチャレンジしようと、2月22日の午後に自宅で20種類もの果物を混ぜて作った搾りたての果汁を静脈に点滴注射した。その後、ヅァンさんは発熱し全身の痒みに襲われたが、自分が打った注射が原因とは思っていなかったようだ。しかしその日の夜、ヅァンさんの体調に異変を感じた夫は、妻の口から驚きの事実を聞かされ、すぐに地元の病院へと連れて行った。

その後、ヅァンさんは湘南学院附属病院へと回され、ICU(緊急治療室)での治療を受ける羽目になった。医師の検査によると、ヅァンさんの体は深刻な感染症と多臓器障害を起こしており、特に肝臓、腎臓、心臓がダメージを受けていた。このままでは多臓器不全と敗血症の危険性があることから、医師らは血液透析装置を用いてヅァンさんの血液を浄化し、抗凝固薬を注射して抗生物質の投与を施した。

5日間の集中治療の結果、ヅァンさんの容態は改善し、2月27日には腎臓病棟へ移されたという。後にヅァンさんは「新鮮な果物は栄養価が高く、体に注射しても無害だと思っていた。まさかこんな状態になるなんて思ってもいなかった」と話したそうだ。

このニュースが中国メディアで拡散されると、ユーザーからは「恐れを知らずにチャレンジした女性の勇気は称賛ものだな」「どうやってカテーテルを入手したんだろう」「この女性は多分普段から静脈注射の仕方を知ってたんだろうね」といった声があがった。

「Weibo(ウェイボー)」では、北京の栄養士ル・チュウギ(Lu Zhongyi)さんが「果物の中には静脈の健康にいいというものもありますが、直接静脈に注射しては絶対にいけません」と綴っており、また、ヅァンさんを治療した病院の救命救急医学科長も「生活水準の向上とコミュニケーションの発達に伴い、人々の健康ニーズに対する意識が高まっているのは事実だが、医学的根拠のないヘルスケア情報も蔓延している。確実でない限りそのような情報を信じることは、かえって健康を損ない命に関わる事態になるので、十分気を付けて頂きたい」と警告している。

画像は『shanghaiist 2019年3月19日付「Woman nearly dies after injecting fruit juice directly into her veins」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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