中国では地域や職業によって生活水準に大きな開きが存在し、人びとの経済格差は拡大していると言われる。確かに中国ではホームレスの人のそばを高級車が走り去るような光景は珍しいものではなく、繁華街に行けば物乞いの人を見る機会も多い。社会主義国の中国よりも日本の方が貧富の格差が小さいというのも不思議な話だが、中国メディアの今日頭条は、日本について「貧富の格差が小さい国」と主張する記事を掲載した。

 記事はジニ係数を引き合いに「中国と比較しても、日本が貧富の格差が小さい国であることに疑問の余地はない」と指摘。ジニ係数とは富の分配の公平性を示す指標であり、日本でも格差拡大が指摘されているが、それでも中国より圧倒的に公平であると言える。記事は、日本社会の考え方として、「国内に貧富の格差が存在することは社会の恥として、富が一極化するのではなく、国民全体が基本的な水準の生活を送れることを目指している」と論じた。

 急速な経済成長を遂げた中国では、沿岸部に集中する大都市での生活水準は飛躍的に向上しているが、内陸部の農村地域と比較するとライフラインや教育、医療福祉などに大きな格差があるうえ、所得の格差も拡大を続けている。日本にも取り組むべき課題があるが、中国の状況と比較すると「貧富の格差が小さい社会」と映るようだ。

 例えば、「社内の役職、職種や地域による所得の格差は中国と比較すると大きくない」と主張。日本にも地域によって平均時給や新卒の給与の違いがあるとしても、「中国の農民人口の多さと給与の低さがもたらす極端な格差は日本には存在していない」とした。他に、「日本の福祉制度」に注目し、「児童、障害者、特別医療を必要とする人、高齢者、失業者の生活を支援する制度が機能している」とも指摘した。

 国の政策や制度が異なるゆえに安易に比較することは出来ないが、自国が急速な経済成長を遂げていることを目にしながらも、自分の生活水準の向上を実感している中国人は全体として多くはなく、格差を実感するという状況なのかもしれない。中国のネットユーザーからは、日本の社会福祉制度を評価する声のほか、「日本人は自分の所得に見合った家に住んでいるから、貧富の格差が小さい」とし、資産の使い方の問題を指摘する声も寄せられた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

日本は社会主義国の中国より「貧富の格差が小さい」=中国メディア