「科学がなしえる未来への貢献に期待感はあるものの、科学に対する懐疑論が高まっている」―― 科学とイノベーションを推進する素材・日用品メーカーの3Mが、世界14ヵ国の14,000人を対象に実施した科学に対する意識調査「ステート・オブ・サイエンスインデックス」で明らかになりました。

※当資料は、3M社(本社:米国ミネソタ州、NYSE:MMM)が2019年3月20日(現地時間)に発表した報道資料の和訳に日本の調査結果を加えたものです。
2019年発行の「ステート・オブ・サイエンスインデックス」は、科学に対する意識の変化を世界規模で調査しています。第三者機関による独自調査から、3Mは、科学は従来にも増して支持されるべきだという結論を得ました。この調査では87%の人々が世界の諸問題を解決するには科学の力が必要だと考えており、過半数(62%)は科学が今後も一層進化すると考えています。一方で、科学に対して懐疑的な見方をする人々が前年比で、世界で3ポイント、米国では6ポイント増加しています。世界でほぼ半数(45%)の人々が自分自身の考えと合致する科学のみを認めているほか、科学がもたらす恩恵について他の人々と議論する際に、科学を支持するのはわずか20%であることが報告されています。このように相反する結果が出る理由のひとつとして、科学の支持者たちのなかで、科学への支持を提唱する必要性についての意識が低いということが挙げられます。

この調査では、科学への評価を高めるための課題とその解決の可能性を示しています。ほぼ4分の3の人々(70%)が科学が日々の暮らしにもたらす影響についてめったに考えたことがないと答え、半数以上(53%)が、科学はそれが解決する問題に匹敵する数の別の問題を引き起こしていると考えています。明るい見通しとしては、科学に対する懐疑的な見方が増えているにもかかわらず、科学に対する一般的意識は肯定的であるということです。明らかに多くの人々(72%)が科学は好奇心を刺激すると答えているのに対して、科学に無関心と答えた人は18%、科学は怖いと答えた人は10%でした。また、85%の人が、科学についてはほとんど、または、全く知らないと答えていますが、同様に85%の人々がもっと科学について知りたいと答えています。


科学への関心は人間への関心によって増幅する

ステート・オブ・サイエンスインデックス調査は、科学が人間に恩恵をもたらす存在であることを示すことが、科学への関心と支持を高める重要なポイントであるとしています。

3Mの最高経営責任者であるマイクローマンは次のように述べています。「3Mは、空気の清浄化や労働環境の安全性向上からヘルスケアや交通関連まで、暮らしをよりよくするため、そして、さまざまな難しい問題を解決するために日々科学を活用しています。今年のステート・オブ・サイエンスインデックス調査は、科学への支持を高める最善の方法として、科学がいかに世界と私たちの日々の暮らしをより良いものにするかを人々に示すことだと報告しています。3Mは科学の力とその明るい未来を人々に理解していただけるよう努めます。その一環として、STEM(科学・技術・工学・数学)教育への長期的な取り組みを推進します。次世代のサイエンティスト、エンジニア、テクノロジストの育成を通じて、私たちは世界の主要な課題に取り組むことができるのです」

科学に興味があると回答した人の多くは、科学的進歩が将来の世代に恩恵を与える(59%)、科学が世界の主要な問題を解決する(42%)、科学が健康寿命を延ばすのに役立つ(40%)といった理由を挙げています。また、大多数が、がんなどの病気に対するワクチン(87%)や宇宙開発の未来について(71%)、恐れるのではなく、心待ちにしていると答えています。


コミュニケーションの重要性

この調査は、科学や科学者の魅力を広く浸透させる方法として、科学への理解と評価を妨げている障害を取り除くことを挙げています。主な課題は、科学をより身近なものにすることと、科学と暮らしとの関連性の周知です。両者ともに、ベストプラクティスの共有によって解決できます。大多数の人々が、科学者が、科学と日々の暮らしの関連性をもっと詳しく(84%)、もっとわかりやすく(88%)説明すべきだと述べています。さらに、80%の人が、科学に懐疑的な人から発信される情報よりも科学の専門家が発信する情報を信じると答えていますが、半数以上(58%)が科学者はエリートだと思っており、このことが、科学者が説明を積極的に行おうと努めていることと、それが受け手にどう思われているかとのギャップとなっています。

3Mのコーポレートサイエンティストであり、チーフサイエンス・アドヴォケートでもあるジェイシュリー・セスは次のように述べています。「私たちは、科学の恩恵を受けていますが、科学と私たちがどう結びついているのかをより明確にするには、効果的なコミュニケーションが必要です。科学者同士では、互いのコミュニケーションはしっかりと行われていますが、科学者は自分たちの仕事の社会への貢献を広く世界へアピールすることが必要です。科学との関係性をより明確にすることで、科学に対する懐疑的な見方や恐れを軽減し、新しい世代の科学者と科学の提唱者(アドヴォケート)を育成することができます。人々が科学者を信頼してくれていることがわかり、また、85%の人が科学についてもっと知りたいと答えていることはうれしいことです。しかし、科学に対する懐疑的な見方は世界に広がっている今がまさに、科学への支持を打ち出し、行動を起こす時です」


人々はデジタル環境の中にあって、アナログを欲している

人間への関心という点を引き続き考えると、本調査では、世界の人々が人工知能(AI)より人間により高い価値を置いていることが報告されています。人々が人間を好むか、デジタル機能を通じた関係性を好むかを調査する一連の質問を設定したところ、ほぼ全員(87%)が、ソーシャルメディアで5,000人のフォロワーを得るより、5人の実在の友人を得る方を選び、64%が自動運転車よりも従来の車を所有したいと答え、74%がロボットのアシスタントより、人間のアシスタントが欲しいと答えています。

また、AIは、将来の科学技術の役割についてある種の恐れを生み出しており、半数以上(52%)が職場でのロボットの役割について、期待よりも危惧を感じていると答えています。ヒトに関するクローン技術(77%)や遺伝子編集技術(65%)も、期待感よりも恐怖を生み出す進歩であるととらえられています。

3Mの最高技術責任者(CTO)であるジョン・バノベッツ(John Banovetz)は次のように述べています。「科学によって私たちは解決が困難な世界規模の課題に取り組み、その取り組みによって、明るい、生産的な、健全な次世代の未来が実現します。今年のステート・オブ・サイエンスインデックス調査は、技術進歩が社会に役立つ変化を起こすことを目指しているにもかかわらず、世界の多くの人々が科学に対して懐疑的であることを示しています。進歩と、これに伴って生まれる好影響を正しく伝えるには、人類にどのような恩恵が生まれるのかに焦点を当て、科学技術が私たちの暮らしをどのように向上させるのかを示す必要があります」


前進への道:ヒューマニゼーション・教育・提唱

3Mは、科学をより身近なものにするため、今年のステート・オブ・サイエンスインデックス調査で明らかになった課題に取り組むための具体的活動を始めています。

「科学者ストーリーテラー」ツールキット:
科学者が科学の必要性、暮らしとの関係性を説得力ある方法で話すためのキットです。3Mは、世界中の科学者や科学愛好家がストーリーテリングの技術を駆使して、科学を分かりやすく説明するためのツールキットを創りました。世界中の一流のコミュニケーターや科学者からの実践的なアドバイスが満載のこのツールキットは、無料でダウンロードできます(英語)。http://bit.ly/2FmlR0l

「科学者の顔」ビデオシリーズ:
科学や科学者をより身近に感じてもらうため、3Mはその最大の資産である自社の科学者たちにスポットライトを当てたオンライン・ビデオシリーズを制作しました。このビデオでは、3Mの科学者たちがどのようにして科学者になったのか、これまでに克服してきた障害や課題、自分たちが取り組む仕事が私たちの暮らしにどのような影響を与えているのかをオープンに話しています。ビデオシリーズはオンラインで視聴できます(英語)。http://bit.ly/2ueOwy3

STEM教育の推進:
科学を提唱する人々がSTEM教育を支援することで、科学の推進や科学による社会への貢献をサポートできます。非営利団体DonorsChoose.orgと共同で、3MはSTEM教育推進のために約50,000ドルをオンラインマッチングファンドに寄付します。57,000ドルのマッチングファンドが集まった後でも、サイト閲覧者はDonorsChoose.orgを通じて引き続き寄付をすることができます。
(STEM教育推進プロジェクトの説明と寄付について・英語)http://bit.ly/2HGXiwU

年間を通じて3Mはさまざまな団体と協力して科学とSTEMプロジェクトを応援します。また、3Mチーフサイエンス・アドヴォケート、ジェイシュリー・セスが、米国および海外で、コンテンツの発信や講演を通じて科学の推進活動を継続します。

世界14ヵ国の国別内訳など、調査データ等は以下で確認できます。
http://www.3M.com/scienceindex

補足資料 日本の結果について
科学にポジティブなイメージがある一方で、引き続き世界一厳しく懐疑的な見方も

日本では、85%の人が世界の諸問題を解決するには科学の力が必要だと考えている上、科学が今後も一層進化すると考えている人は80%、世界平均の62%を大きく上回っています。同時に懐疑的な見方もあり、科学の信頼性に関するスコアは前回からほぼ増減はないものの、引き続き世界で最も低いスコアとなっています。科学に対する好奇心も低く(日本40%:世界平均72%)、半数近くが「関心がない」(日本42%:世界平均18%)と答えているほか、世界平均(10%)よりも多い18%の人が「威圧的だ」と感じています。

がんや糖尿病といった慢性疾患に対する医学的進歩(82%)、宇宙旅行の実現(71%)、空飛ぶクルマの実現(57%)などといった課題については、日本でも他国と同様に懸念よりも期待感を持っています。一方、特定の課題に対しては、世界平均に比較して懸念・不安が高くあらわれています。ヒトに関するクローン技術(90%)、遺伝子組み換え食品(85%)、遺伝子編集技術(83%)などのテーマです。

ロボットについて、日本では好意的な結果が出ています。職場におけるロボット活用への期待は高く(日本58%、世界平均48%)、懸念は日本が42%と、世界平均の52%を下回っています。また、アシスタントとして「人間を選ぶ」(66%)人が多いものの、ロボットを選ぶ意向は世界平均の26%に対して日本は34%と、ポジティブな結果となっています。

【ステート・オブ・サイエンスインデックス調査の方法について】
この調査は、独立したリサーチ会社が2018年7月13日9月10日までの期間、14カ国14,025人を対象にオンラインインタビューまたは直接の面談のいずれかで、各国18歳以上のおよそ1,000人を対象に行いました。調査を実施した国々は、ブラジル、カナダ、中国、フランスドイツインド、日本、メキシコポーランドシンガポール南アフリカ、韓国、スペイン、英国、米国です。
【3Mについて】
3M(本社:米国ミネソタ州)は、Science(サイエンス)を活かし毎日の暮らしをより豊かにすることを目指しています。売上高は330億ドルで、9万3,000人の社員が世界中のお客様の課題解決にむけて、創造的なソリューションを提供しています。3Mに関する詳しい情報は、www.3M.com/ @3M/ @3MNews (Twitter)をご覧ください。また、3Mジャパングループについてはwww.mmm.co.jp をご覧ください。

配信元企業:スリーエム ジャパン株式会社

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