自分は話し下手で、コミュニケーション力に自信が持てないというSEの方は少なくありません。しかし、コミュニケーションスキルとトーク上手は似て非なるもので、SEという職種に適した コミュニケーションスキルがあります。

コミュニケーションに
苦手意識をもつSEは多い

世間一般で、SEに代表されるIT系職種全般はあまり話し上手ではない、というイメージがあるように思います。私が知るかぎり、IT業界には話し上手も芸達者もたくさんいらっしゃいますが、口下手を自覚しているSEの方も多いのではないでしょうか。しかし、世間のイメージと、SEが自覚する口下手は、微妙に意味合いが違っているように思うのです。

いまだに、IT業界を知らない方ほど、SEはひたすらコンピュータと向き合うというイメージをお持ちです。しかし、SEの業務が、クライアントやプロジェクトメンバーと向き合い、コミュニケーション力が求められる仕事であることは、いうまでもありません。口下手、話し下手で、コミュニケーション力に自信が持てない方もいらっしゃると思いますが、トーク上手や話好きでも、コミュニケーションスキルが高いとはかぎりません。人見知りや話し下手で、流暢に話せなくても問題ないのです。

SEが求められるコミュニケーション力

SEが仕事の中で求められるのは、ヒアリング、プレゼンテーション、報告・連絡・相談などのコミュニケーションです。ひとくくりにコミュニケーションといっても、目的が違えば注意すべき点も異なります。

ヒアリング
対面しながら必要な情報を引き出す。相手の状況や心情を推測することが重要。

②プレゼンテーション
ターゲットに特定のメッセージを伝える。ストーリー、視覚効果、話術などを工夫。

③報告・連絡・相談
状況に応じたリアルタイムの情報交換。状況によって適切な手法が変わる。

人それぞれで何を苦手とするかは違いますが、コミュニケーションというスキルの中に、会話以外の要素が大きくかかわってきます。たとえば、ヒアリングでは相手の意図を探り、認識を共有する洞察力や、相手の話を引き出す“聴く”スキルが必要です。プレゼンテーションでは、メッセージを伝えるストーリーを企画する力や、資料を作成する構成力などが求められます。

そして、日常の中でもっとも頻出する報告・連絡・相談は、その場の会話以上に、あらかじめ関係を構築できていることが大前提となります。いずれも話の上手下手ではなく、何のためのコミュニケーションかを把握し、準備しておくことが重要であることがおわかりいただけるでしょうか。

習慣と訓練で苦手意識を払拭しよう!

口下手を自覚するSEの皆さんが、特に苦手意識を抱かれるのはクライアントの前でプレゼンテーションしたり、交渉の場で当意即妙の切り返しをしたりといった、比較的高度なスキルのように思えます。クライアントと打ち解けて話すのが苦手という声もよく聞きますね。

SEの役割としては、伝えるべきことを、必要な場面で適切な表現をもって伝えることが重要です。伝える内容が適切であれば、伝え方は事前の準備次第です。これは訓練と習慣で、ある程度まで身につけられるものです。カリスマ的なプレゼンテーターになれなくても、言葉を選んで丁寧に話す姿勢が、信頼感につながる場合もあります。「苦手だからできない」と思いこまなければ、言葉の重さは個性にも武器にもしていける可能性があるのです。

話し下手でも大丈夫!? SEに求められるコミュニケーション力の本質とは!?