1977年に国際環境保護団体グリーンピースを脱退したカナダ人により設立され、自らを海洋生物保護のための国際非営利組織の海洋環境保護団体と称する「シーシェパード」。海賊旗を模した旗からもうかがえるように、その過激な活動が知られるところだが、海とその生物を守ろうとする彼らの断固たる姿勢に疑いの余地はない。このほどそのシーシェパードが、強烈なインパクトを放つ3D広告でプラスチックの廃棄による危険性を警告した。『The Sun』『Metro』などが伝えている。

空腹のあまりプラスチックのゴミ袋を噛む痩せたホッキョクグマや、胃の中から大量のビニール袋が発見されたクジラの死骸など、痛々しい海洋生物のニュースが度々報じられているが、それらが人間によるプラスチック廃棄が原因で起こった深刻な海洋汚染であることは明らかだ。現在、少しでもそのプラスチック消費を減らそうと様々なリサイクル活動が行われる一方で、ボランティア環境保護団体による海岸のゴミ拾いなど積極的な自然保護活動が盛んだが、大量に廃棄されたプラスチックはまだまだ海の生き物を苦しめ続けている。

このほど、シーシェパードは国際的規模のインタラクティブ・エージェンシー「Tribal Worldwide(トライバル・ワールドワイド)」ブラジル支部と広告代理店DDBグアテマラ支部の協力を得て、共同キャンペーンとして見る者の視覚に強烈に訴えかける3Dイメージを作成した。

サンパウロにある「Notan Studios(ノータン・スタジオ)」で作成されたこの広告は、海洋生物であるアザラシや海ガメが頭にプラスチックのビニール袋を被って悶えている3D画像で「あなたが一度使うプラスチックは、永遠に海の生物を苦しめることになるのです」というメッセージが添えられている。今回のキャンペーンではプラスチックの使用量を減らす方法についての役立つヒントも提供されているとのことで、Tribal Worldwideサンパウロのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター、ギガ・ジャコモ氏(Guiga Giacomo)は、次のように話している。

「不幸にも小さな思いやりのない私たちの行為が、気付かないうちに自然にとても大きなダメージを与えてしまっているのです。このキャンペーンでは、簡単な方法でこのような酷い事態が発生するのを防ぐことが可能なのだということを可能な限り多くの人に認識してもらい、改善していくことを目的としています。」

また、シーシェパードUS支部では、海に浮かぶ沖合の島々で発見された海洋ゴミを片付け、浄化する「Operation Clean Waves(オペレーション・クリーン・ウェイヴズ)」と呼ばれるキャンペーンも行われている。シーシェパードでは科学者と協力し、これまでほぼ回収不可能とされてきた環境中に存在する微小なプラスチック粒子「マイクロプラスチック」が、海洋生物に与える影響も調べているという。このプラスチック粒子は、大きさが5mmより小さなプラスチック片で、日常使っている歯磨き粉やボディシャンプーなどの中に含まれているマイクロビーズマイクロカプセルなどの「1次マイクロプラスチック」と呼ばれるものや、プラスチック製品が劣化して小さくなった「2次マイクロプラスチック」があり、それらが海に流される数は果てしないと言われている。

シーシェパード創設者兼代表のポール・ワトソン氏は、「科学者らは、2050年の海中には魚よりもプラスチックの方が多く存在することになるだろうと警告しています。こうしたことが起こらないために、私たちは日々活動に尽力しているのです。海洋が死ねば、つまり私たちも死ぬということになるからです」と述べている。

画像は『The Sun 2019年3月20日付「PLASTIC HELL Horrifying images of ‘tortured’ seal and turtle wrapped in plastic highlight horror of world’s plastic waste crisis」(Credit: SEA SHEPHERD)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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