後半12分、サパタ投入&2トップ移行のケイロス監督の采配が見事に的中

 森保一監督率いる日本代表は、22日に行われたキリンチャレンジカップで南米の雄コロンビアに0-1で敗れた。前半はコロンビアゴールに襲い掛かり、シュート本数も「16対9」と差をつけたなか、敵将カルロス・ケイロス監督の采配が流れを大きく変えた。スポーツ専門テレビ局「ESPN」ラテンアメリカ版でレポーターを務めるコロンビア人スポーツジャーナリストのジュリエット・ゴンサレス・テラン氏は「最高の選手交代」と策士の一手を称えた。

 日本は前半4分にFWラダメル・ファルカオモナコ)にクロスバー直撃のシュートを放たれたものの、その後は修正。A代表デビューのFW鈴木武蔵(北海道コンサドーレ札幌)、MF南野拓実ザルツブルク)、MF柴崎岳(ヘタフェ)らがプレスをかけてMFハメス・ロドリゲスバイエルン)に簡単にボールを持たせず、ボール奪取からの素早い攻撃でコロンビアゴールに襲い掛かった。前半37分には、MF中島翔哉(アル・ドゥハイル)の左サイドからのクロスに鈴木が合わせる決定機を迎えたが、ヘディングシュートは惜しくも枠を捉えられなかった。

 しかし、後半は一転してコロンビアペースとなる。同3分にDF昌子源(トゥールーズ)がDFエリベルトン・パラシオス(アトレティコ・ナシオナル)にかわされてピンチを招くと、後半9分にはショートカウンターからクロスを上げられ、ファルカオにネットを揺らされる(ハンド判定でノーゴール)など、徐々に押し込まれていく。

 そして勝敗を分けるポイントとなったのが、ケイロス監督が後半12分、右ウイングのFWセバスティアン・ビジャ(ボカ・ジュニアーズ)に代えてFWドゥバン・サパタ(アタランタ)を投入し、ファルカオとの2トップにシステム変更したことだった。

 サパタは後半18分にペナルティーエリア内からシュートを放ち、DF冨安健洋シント=トロイデン)のハンドを誘発してPKを獲得。ファルカオの決勝点を呼び込むと、その後も後半21分にはFWルイス・ムリエル(フィオレンティーナ)が高速ドリブルで昌子をぶっちぎり、アディショナルタイムにはMFルイス・ディアス(ジュニオル)がクロスバー直撃のシュートを放って日本に流れを渡さなかった。

コロンビア人記者ゴンサレス・テラン氏も称賛「最高の選手交代」「流れを変えた」

 コロンビア人レポーターのゴンサレス・テラン氏は、ケイロス監督の巧妙な采配が実に効果的だったと振り返る。

「前半はガッカリしました。もっと攻撃の局面が作れると思っていましたから。でも、後半に1人の選手(サパタ)を入れたことで変わりました。彼は攻撃的なプレーがたくさんできる選手です。ケイロス監督は最高の選手交代をして、試合の流れを変えました」

 実際に対峙した昌子も、サパタ投入でコロンビアに流れが傾いたと証言する。

「後半は、11番(サパタ)が入ってファルカオと2トップの形になり、相手にギアが入った。サパタを中心にキープもされるようになって、相手も前からプレッシャーに来て、パスが回らなくなったところでの失点でした」

 ケイロス監督は試合後の記者会見で、苦しんだ前半とリズムをつかんだ後半についてこのように狙いを明かしている。

「日本をよく分析して、特徴や強さは分かっていた。アジリティー、スピード、技術レベルがものすごく高い。日本は縦パスが主体なので、前半はそれをさせないことに集中した。後半は日本のフラストレーションが溜まってきたタイミングで裏のスペースを狙ったり、突破したりして攻撃的に出たのが上手くいった」

 森保監督もMF香川真司(ベジクタシュ)、MF乾貴士(アラベス)FW鎌田大地シント=トロイデン)と攻撃的なカードを切ったが、ゴールを奪うには至らず。“ジョーカー効果”の差が、試合結果につながってしまった。(Football ZONE web編集部・小田智史 / Tomofumi Oda

コロンビア代表を率いるケイロス監督【写真:Getty Images】