50万人に1人の確率で発生するとされる非常に稀な先天性奇形「封入奇形胎児(胎児内胎児)」。このほどコロンビアで、母親のお腹に宿った胎児がその症状を抱えていることを専門医が発見した。『The New York Times』『The Sun』などが伝えている。

コロンビア2月22日モニカ・ヴェガさん(33歳)から3,175gの女児イツァマラちゃんが誕生した。実はイツァマラちゃんは一卵性双子のひとりで、もうひとりの胎児はイツァマラちゃんの腹部に取り込まれている「封入奇形胎児(胎児内胎児)」だった。

妊娠35週にモニカさんを診察した医師は、当初はお腹の胎児に肝嚢胞があると思ったという。しかしカラードプラ超音波と3D/4D超音波によるスキャン検査を行った結果、胎児の腹部に羊膜嚢に包まれ羊水に浮いている小さな別の胎児がいることを発見した。その胎児には栄養を運ぶ血液が流れる別のへその緒がついており、大きな胎児の腸の部分に結合していた。

アトランティコ県バランキージャで、高リスク妊娠を専門とするミゲール・パーラ・サーヴェドラ医師は「この症例は自身のキャリアの中でも初めてのケース」とし、女児の腹部に存在するもうひとりの胎児がこれ以上成長して女児の臓器に影響を及ぼすのを防ぐため、また出生時にこの胎児が女児の腹部の臓器を押し潰す危険性を避けるために妊娠37週の時点でモニカさんから帝王切開で女児を取り出すことを決意した。ミゲール医師から聞いたモニカさんは「あり得ない」と最初は信じられない様子だったが、医師の細かな説明を聞き、事態を理解したという。

女児が生まれた2月22日の翌日、腹腔鏡手術が行われ、医師らは体長約4.5cm~5cm、重さ14gほどの不正形成の胎児を無事に女児の腹部から取り出した。自身の羊膜嚢に包まれていたこの胎児には、未発達の頭部やへその緒、四肢があったが、脳や心臓がない状態だった。

イギリスの医師会雑誌「ブリティッシュメディカル・ジャーナル(British Medical Journal)」によると、「Fetus in fetu」と呼ばれる先天性奇形の最初の症例報告は1808年で、50万人に1人の確率で発生するとされている。この封入奇形胎児(胎児内胎児)は骨や筋肉組織、毛を含む腫瘍「奇形種(テラトーマ)」と誤診されることもあるが、ミゲール医師は今回の胎児は同じ卵子からの一卵性双生児として育っていたものであることを確信している。

未発達の胎児は、大きく健康な双子のかたわれと結合して生まれてきたり、吸収されて体の内部や外部で部分的に成長することがあることから、寄生性双生児などとも呼ばれている。『The New York Times』が伝えるところによると、こうした状態は受精後早い段階で起こった受精卵の細胞分裂がうまくいかず、不完全な状態で細胞分裂を繰り返し、大きな胎児が未成熟の小さな胎児を包みこんでしまうことにより起こる非常に稀なケースという。これまでの症例は少ないが、最近ではインドインドネシアシンガポールなどで似たような例が報告されているようだ。

ミゲール医師は「手術を終えた女児の容態は安定している。腹部に傷ができたが、普通の赤ちゃんとして順調に育っている」と話している。

画像は『The Sun 2019年3月21日付「‘PREGNANT’ NEWBORN Little girl is born with her own 14g twin growing INSIDE her tiny belly stunning doctors」(Credit: CENTRAL EUROPEAN NEWS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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