Credit: nissin
Point
日清食品東京大学と共同で「培養ステーキ肉」を開発
■肉本来の食感を出すため、ウシ筋肉細胞にビタミンCを与え「コラーゲンゲル」の中で培養しサイコロステーキ状に
■研究の背景には、世界的な人口増加などにより食肉の消費量増加が予測されるという課題

日清食品が「謎肉」の次に目をつけたのは「培養ステーキ肉」のようです。

日清食品東京大学と共同で、肉本来の食感を持つ「培養ステーキ肉」を開発しました。この研究結果は日本農芸化学会大会で3月24日に発表されています。

ステーキ肉をガブッとかじった時の、あの食感。アレを出すには肉の細胞が集まっているだけではダメで、特別な立体構造が必要です。

培養細胞にこの立体構造を作らせるには、栄養をいきわたらせ、成熟させて、そして細長い構造に変化させなくてはいけません。

世界初のステーキ状培養肉が爆誕

Credit: nissin

東京大学の竹内教授らは、まずウシの筋肉細胞に栄養となるビタミンCを与えました。さらに肉の厚みとなる立体構造をつくらせるために「コラーゲンゲル」の中で培養。その結果、世界で初めてサイコロステーキ状の培養肉を作製することに成功しました。

竹内研究室では細胞に3次元構造を再現させる培養技術などを研究しており(研究室HP:http://www.hybrid.iis.u-tokyo.ac.jp/)、この技術を使って「細胞人形」を作ってみたりもしています。

Credit:東京大学

「細胞人形」はクリスマスに飾るジンジャークッキーみたいですが、もう少し立体的にモコモコした感じで、大きさは5ミリメートルです。なんだかかわいい。

今回の「培養ステーキ肉」の研究は学技術振興機構(JST)の「未来社会創造事業」に採択されています。JSTは、研究者の間では有名な国の機関。ここに採択されて研究費をもらっているということは、国もこの研究が日本の将来のために必要だと考えているということです。

食糧危機を救え!

「培養ステーキ肉」研究の背景には、世界的な人口増加などにより食肉の消費量増加が予測されるという課題があります。この課題に対して、同じように培養肉の開発に取り組み、過去に3億円の資金を調達した日本のバイオベンチャー企業もあります。また、肉にかわるたんぱく源として昆虫や藻なども注目されています。長崎バイオパークでは「食べられる昆虫展」の企画が行われており、先日は試食イベントも開催されています。

日清食品は飢餓撲滅支援や災害時の食料支援など、食を通じた国際支援も行っています。「培養ステーキ肉」の研究は我々の愛するカップヌードルのためだけではなく、世界の食料危機を救う新しい産業もその目的のひとつのようです。

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reference: nissin / written by かどや

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