高齢化が進むなか、心臓疾患を抱える人は多い。心房細動は心臓不整脈の最も一般的なタイプで、65歳以上の人の約9%が心房細動があるという。

今後30年間で世界人口における心房細動の罹患率は、3倍に増加すると推定されている。

・心房細動の検出が難しいという実状

そこで現在、リトアニアのカウナス工科大学研究チームが心房細動を検出する手首装着スマート装置を開発中だ。その背景には、心房細動の検出がなかなか難しいという実状がある。

心房細動は心臓発作の後に発症することが多く、合併症予防のために特定の医療と注意が必要だが、退院後の健康診断は一時的なものであることが一般的だ。

また、不整脈発症の初期には自分で心房細動に気付かないこともある。そして、短時間で行われる臨床心電図では慢性的な不整脈のみ検出され、たまにしか発生しない不整脈は検出されない。

・心房細動を継続的に監視

この現状を改善すべく、研究チームはこの装置の開発を行っている。

この装置は、連続監視のためのフォトプレチスモグラフィ(PPG)と制御信号の取得のための心電図(ECG)の2種類を使用。 PPGセンサが心房細動に似た心臓の動きを感知すると装置が振動して、他方の手で装置に触れて短いECG 信号を記録するように患者に伝える。

今後の課題の1つは、他のタイプの不整脈などの「ノイズ」から有用な情報を分離する高度な信号処理ソリューションだという。

さらに、研究チームは身体的負荷への心臓の反応を監視するアルゴリズム実施などの機能追加に取組んでいる。心臓の身体的負荷への適応の遅さは、死亡率増加と心血管疾患のリスクに関連するためだ。

この装置の特許出願は2018年末にリトアニア国家特許局に提出され、現在、他の2つの発明の国際出願を準備中。これからのさらなる研究開発が期待される。

Kaunas University of Technology

心臓の病気を検出する手首装着スマート装置をリトアニアの大学が開発中